声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
(最終回)
「国民主権、そして民主主義をかけて、疑惑を徹底追及していく」――森友学園に国有地が8億円も値引き売却された疑惑をめぐり、たつみコータロー参院議員は国民の怒りの声を代弁し、2017年3月以降、参院本会議や同予算委員会などで、計42回質問に立ち追及してきました(下欄参照)。公文書改ざんなど前代未聞の政治問題に発展した森友疑惑の核心は、“政治家の関与”。たつみ議員は「民主主義と政治を国民の手に取り戻すたたかい」と追及を続けています。
森友疑惑追及 民主主義をかけて
自然の堆積層に人工物が混入?
「数万年の経過でできた自然の堆積層に、なぜビニール片やマヨネーズのふたが混入しているのか。そんなものが発見されたら、それこそ歴史的発見じゃないか」
8億円値引き売却された国有地の地下深くに、埋設物があったのかどうか――たつみ議員は2017年11月30日の参院予算委員会で、問題の核心部分に迫る論戦で、政府を厳しく追及しました。
財務省は8億円値引き売却について、国有地のくい打ち工事で出た新たなごみが根拠だと説明。ところが「地下3㍍以深から新たなごみが出た」との値引きの“ストーリー”を国が学園側に提示した「口裏合わせ」の音声データが発覚。窮地に追い込まれた国側は、「学園に資料提出を求めたもの」など苦しい弁明に終始しました。
この日、たつみ議員が取り上げたのは、大幅値引きを「適切とは認められない」と結論付けた会計検査院の報告書(17年11月22日に)。たつみ議員に対し、河戸光彦会計検査院長は、過去のボーリング調査の結果から、「地下3㍍以深は沖積層が分布している」と述べ、くい打ち工事で出たごみは「浅い部分に存在していたもの」との見解を示したのです。たつみ議員は、「沖積層」が1万8千年前より後に堆積した地層だとし、「架空のごみ」のでっち上げにより、その処理費として大幅値引きが行われたと指摘。工事業者の証言や学園側作成メモなど、あらゆる資料が3㍍以深にごみがない事実を示していると追及。大臣らはこれにまともに答えることができませんでした。
8億円の値引きの根拠は崩れた
「同じ穴を撮った写真が、別の地点の写真として使い回されている。国交省はでたらめな資料をもとに、8億円もの値引きを決めた」
2018年11月26日参院予算委員会でたつみ議員は、値引きの根拠とされた試掘現場の写真が使い回されていたと告発。「8億円値引きの根拠は完全に崩れた」と追及しました。
写真は国交省が値引きの根拠として国会提出したもので、地中ごみの深さを示す試掘現場とされます。写真の元データをたつみ議員は専門家に依頼し解析。その結果、別々の地点で撮影したはずの3枚の写真に同一の物体が複数写っており、2枚について縮尺を合わせると、ぴったり重なりました。
撮影日時を秒単位で解析すると、約50㍍離れた地点を14秒で移動したことになると問題視。石井啓一国交相は「同じ写真の可能性はある」と答弁しました。
続けてたつみ議員は、「3・8㍍」より深い地点からごみが出た証拠とする別の写真3枚について、撮影日時のデータが異なると指摘。「新たなごみ」が出たとする“口裏合わせ”の音声データにも触れ、「写真を撮り直し、口裏合わせに符号した報告書をつくったということだ。値引きの根拠は崩れた」と迫りましたが、安倍首相は答弁に立ちませんでした。
写真の使い回しを国交相認める
2019年3月6日の参院予算委員会で、8億円の値引きの根拠とした試掘現場の写真について、「一部に誤りがあった」と使い回しを認めました。たつみ議員に対する答弁です。
三権分立を揺るがす公文書改ざん
国政史上初めて文書改竄認める
「森友疑惑は全く新しい段階に入った。改ざんが事実であれば、内閣総辞職に値する。法治国家として許されない。(行政府の)最高責任者としてしかるべき責任を取るのか」
森友疑惑は2018年、国有地取引をめぐる財務省の取引決裁文書が改ざんされていたことが発覚しました。政府は、国政史上初めて文書改ざんを正式に認めて謝罪する事態に追いこまれたのです。
公文書管理法第1条は、公文書について「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と規定。公文書改ざんは刑法に抵触する犯罪行為です。
問題の文書は、国政調査権に基づき国会議員に開示されたもの。国有地の格安売却をめぐる政治家の関与等、事件の核心部分の検証さえ不可能になり、民主主義の土台を破壊する大問題です。
検証できず審議が成り立たない
たつみ議員は3月5日の予算委員会で、改ざん前の文書があるかを政府に問いただし、「近畿財務局に電話1本かければ済む話だ」と、検察当局の捜査を理由に答弁を避ける政府側を追及。「無いなら『無い』と言えばいいのに、言えない」とたたみかけて、決裁文書の電子データの有無を質問。それまで「廃棄した」「存在しない」など逃げ答弁を連発してきた太田理財局長も、廃棄したとは言えませんでした。
「消されたり書き換えられたのは、森友学園への便宜を示す文言だからではないか」。たつみ議員はそう追及し、「改ざん資料を国会に提出し、政府はそれをもとに答弁してきた。政策決定過程の検証は不可能となり、国会審議は成り立たない」と批判しました。
「歴史の改ざんであり、民主主義の根幹を揺るがすものだ」「公務員が誰の指示もなしに改ざんをやるはずがない」。財務省が3月12日に14の公文書改ざんを認めたことを受け、決裁文書改ざんに至った経緯の真相解明へ、たつみ議員は3月16日の参院予算委で質疑に立ちました。
昭恵氏を隠し首相答弁に合わせ
歴史の改ざんという「認識はない」と居直った麻生太郎財務相の答弁に対し、たつみ議員は「責任を取って辞めていただきたい。責任を取る気のないトップが調査をすると言っても実効性はない」と批判。「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員もやめる」(17年2月17日)と述べた安倍晋三首相の国会答弁と整合性を取るため改ざんしたのではないかと追及しました。
答弁で太田理財局長は、「総理あるいは大臣の答弁もあるので、政府全体の答弁は気にしていただろう」と述べ、首相答弁と整合性を図るための改ざんとの指摘を否定できませんでした。
たつみ氏は、「(昭恵夫人から)『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」など、決裁文書で5カ所、昭恵夫人に関わる記述が削除されたと指摘。「疑惑の核心はこの貸し付けの経緯にある」とし、「財務省は隠し続けた。昭恵氏につながる文書の存在、痕跡を消すために改ざんが行われた」と指摘しました。
「特例」の背景に政治の関与が?
文書改ざん問題の集中審議が行われた3月19日の参院予算委で、小池晃書記局長とともにたつみ議員が政府を追及しました。
昭恵氏の関与を転換点にして、頓挫しかかっていた森友学園への土地売却が進んだ経緯をただし、「籠池氏がスリーショットの写真を見せた途端に、近畿財務局が本省に相談し協力すべきとなった」「事実関係をみれば、昭恵氏が貸し付けに影響を与えたことは明白だ」と強調。改ざん当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官と昭恵氏の証人喚問を求めました。
たつみ議員は翌3月20日の参院予算委でも質問し、森友学園が国有地貸し付け時から「特例」の扱いを受けていたと指摘。背景に安倍晋三首相の妻の昭恵氏の存在があるとし、「通常、考えられないことが起きている。調査すべきだ」と求めました。
疑惑解明に大きな力を発揮
野党合同ヒアリング
「これまでの答弁は事実と異なっていた。誠に申し訳ない」。学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる疑惑の発覚から1年4カ月。2018年6月5日の参院財政金融委員会で、財務省の太田充理財局長が、疑惑の焦点について虚偽答弁を認めて謝罪しました。
質問したのはたつみコータロー議員。18年3月に発覚した財務省の公文書改ざん経緯について、政治家の関与を厳しく追及。首相夫人の昭恵氏が口利きをして、学園側の言い値に合わせ「でっち上げのごみ」の撤去費を決めたという8億円大幅値引きの経緯は、もはや逃れようのない状態になりました。
18年6月18日には、学園との土地取引をめぐる安倍晋三首相夫人、昭恵氏の関与を裏付ける「新文書」をたつみ議員が参院決算委で暴露。各メディアも注目し、「森友『やはり安倍案件』」「共産指摘『名誉校長』省庁で共有」などと報じました。
文書の信ぴょう性が裏付けられ
たつみ議員が示した新文書は、国交省大阪航空局が作成した文書で、「安倍総理夫人は、森友学園が開校を計画している『瑞穂の國記念小学院』の名誉校長に就任」と注記。安倍案件を裏付けるとの追及に、安倍首相は文書の真偽が定かでないなどとして、「答えようがない」と答弁を拒否しました。
日本共産党が公表した新文書では、安倍首相が「真偽が定かではない」などと逃げ答弁に終始し、国交相も「確認は控える」と調査を拒否。野党各党は「怪文書などでは到底ない」と指摘し、同月28日の野党合同ヒアリングでは、国側が新文書に記された事実関係を認める発言を行い、文書の信ぴょう性が裏付けられました。
森友問題の疑惑解明に大きな力を発揮したのが野党合同ヒアリングで、森友問題に限っても、35回実施されています。
今年1月には、たつみコータロー、宮本岳志両議員をはじめ野党議員が、豊中市の国有地などを調査しました。
(大阪民主新報、2019年4月28日・5月5日合併号より)