おおさかナウ

2019年05月19日

大阪市廃止の「都」構想
公明が住民投票に賛成

 公明党府本部の佐藤茂樹代表(衆院議員)は11日、大阪市西区の府本部で記者会見し、大阪市を廃止して「特別区」に分割する「大阪都」構想の賛否を問う再度の住民投票について、「(ダブル選で維新が勝利した)今回の結果を受けて、知事・市長と府議・市議の任期中の実施に協力する」と表明しました。これを受けて大阪維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は同日、1年程度で「都」構想の制度設計案(協定書)を法定協議会でまとめ、来秋にも住民投票を実施するとの意向を表明しました。

維新・松井氏「来秋にも実施」

 公明党は同日の幹部会合で住民投票の実施に賛成することを確認。松井氏は「方向性を変えられたというメッセージとして受け止める」と、法定協議会の運営などについて協議する考えを示しました。

 吉村洋文知事(大阪維新の会政調会長)も10日、ツイッターで「公明党が『都』構想に賛成の方針へと舵を切ったと受け止める」と発言。「その点が確認できれば、法定協で1年程度、前向きな議論をし、より良い案を完成させ、来年秋頃の住民投票の実施を目指したい」としています。

 維新は、2015年の住民投票で否決された「都」構想を蒸し返してきました。住民投票には府市両議会での可決が必要。維新はいずれも過半数に満たない中、公明党の協力を得るために「任期中の住民投票実施」という「密約」まで交していました。

 その「密約」が破綻したことで、維新は統一地方選と同日の知事・大阪市長の入れ替えダブル選を仕掛け、知事・大阪市長の座を占めると同時に、府議会で過半数を得ましたが、大阪市議会では過半数に2議席足りません。

 前維新代表の橋下徹元大阪市長は、公明党の現職議員がいる大阪・兵庫の6小選挙区に「エース級のメンバーを準備できると思う」(「産経」4日付)と、対抗馬擁立をほのめかすと同時に、公明党が大阪市議会で「都」構想賛成に転じれば、「ケンカをする意味はなくな」ると揺さぶりをかけていました。

 公明党の佐藤氏は10日、「都」構想自体への賛否について、「(ダブル選の)民意を受けて、より充実した協定書作成のために、積極的・建設的に改革を進める立場で、前向きな議論を推進していきたい」と発言しました。

 松井氏は13日、公明党が「都」構想そのものに賛成しなければ、次期衆院選で対抗馬擁立の準備するのは当然だとしています。

自民府連会長が賛成
大阪市議団は反発

 11日、自民党府連が大阪市内で開いた総務会・全体会議で自民党府連会長に就任した渡嘉敷奈緒美衆院議員は、記者会見で「今回の民意を受けて、住民投票は賛成したい」と表明。「都」構想自体についても「ゼロベースで考え直したい」と述べると同時に、「維新と連携を目指していきたい」とも語りました。これに大阪市議団などが強く反発しています。

都構想打破へあらゆる努力
共産党・柳委員長

 日本共産党の柳利昭府委員長は15日開いた府委員会総会で、 「自公が維新に屈服する中で、維新幻想を打ち破ってたたかえるのは共産党しかないことが一層明らかになり、新たな共感が広がる条件が生まれている。その役割を果たし、条件をくみ尽す取り組みを大いにやっていきたい」と話しました。

(大阪民主新報、2019年5月19日号より)

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