公明一転「都」構想に賛成 来秋にも再び住民投票へ
「密約」の末に完全屈服 裏切り重ねる公明
大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想をめぐり、大阪維新の会の松井一郎代表(大阪市長)らと、公明党府本部の佐藤茂樹代表(衆院議員)らが5月25日、大阪市北区内のホテルで会談しました。公明党はこれまで「都」構想に反対していた態度を180度転換し、再度の住民投票を来年秋にも実施することで合意しました。
会談後、松井、佐藤両氏らが共同会見。松井氏は維新側から①「都」構想賛成の立場から法定協議会に参加してほしい②法定協議会で1年をめどに協定書を取りまとめる③まとまった協定書を速やかに可決し、住民投票を実施する――の3点を要望し、公明側が了承したと説明しました。
佐藤氏は4月の知事・大阪市長「ダブル選」で維新が勝利したことに「民意」を感じ、5月11日に住民投票実施に協力すると発表したと発言。「都」構想に賛成する前提条件として①住民サービスが低下しない②「特別区」設置のコストを最小限に③現行の区役所機能の維持④全特別区への児童相談所の設置――の4点を提示し、維新側が了承したと説明しました。
「都」構想は2015年5月の住民投票で否決。維新は「再挑戦」を掲げてきましたが、否決された「5区案」が「4区案」になっただけで、「特別区」は庁舎建設などに最大637億円もの費用がかかり、住民サービスの低下は避けられないなど制度案の矛盾が噴出。大阪市を廃止して、その権限・財源を府に吸い上げるというのが「都」構想の狙い。公明党と維新が合意した4案件によっても、その本質は変わりません。
住民投票には府市両議会での協定書の可決が必要ですが、維新はいずれも過半数に満たない中、公明党の協力を得るために「任期中の住民投票実施」という「密約」まで交わしていました。その「密約」が破綻したことで、維新は統一地方選と同日の知事・大阪市長の「入れ替えダブル選」を仕掛け、知事・市長の座を占めると同時に、府議会で過半数を得ましたが、市議会では過半数に達していません。
維新側は「都」構想に「民意を得た」とし、公明党が賛成しなければ、同党の現職議員がいる大阪・兵庫の6小選挙区に対抗馬を擁立することをほのめかし、揺さぶりをかけていました。
今回の合意は、維新への公明党の屈服です。「密約」で市民を裏切った上に、こんどは反対から賛成に転じた公明党。有権者にどう説明するのでしょうか。
(大阪民主新報、2019年6月2日号より)