2019年06月08日
ピースおおさか加害展示撤去巡る文書
広く公開し議論の対象に
最高裁 隠蔽の府・大阪市を断罪
旧日本軍の加害行為の資料を大阪国際平和センター(ピースおおさか)の展示から外した経緯を記した文書を非公開とされ、知る権利を侵害されたとして三重県伊賀市在住の男性が府と大阪市それぞれに損害賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁判所は24日付で府と大阪市の上告を退ける決定をしました。「歴史認識に関する情報は広く公開され国民的議論の対象とすることが望ましい」とし、府と大阪市の非公開決定を違法とする二審の大阪高裁判決が確定しました。
ピースおおさかは、1970年代から自民党や共産党、政治的立場の違うさまざまな市民団体が、恒久平和を祈念する記念施設・資料室などの建設を求め、91年に設立されました。日本の空襲被害とともに、その前段に旧日本軍による無差別爆撃など加害の歴史があったことも展示していました。
「自虐的」と維新が攻撃
加害展示は大阪維新の会から「自虐的」と批判され、15年のリニューアルで撤去されました。
維新府・市政共犯の違法行為
原告代理人・大前治弁護士の話
維新の府政と大阪市政が共犯で行った違法行為を裁判所が同時に断罪したことは初めての事例であり、重大な意義があります。情報公開を大きな売り文句にする維新ですが、実際は都合の悪いことは隠そうとすることがはっきりしました。
ピースおおさかの加害展示を撤去せよと、維新の知事と市長、府議、市議らが総がかりで、一大キャンペーンを張りました。その際の情報は非公開とされ、市民に知られずに歴史が改ざんされました。
歴史認識をめぐる対立がある問題で、府や大阪市は「情報公開すると、報道や抗議活動が増えて多忙になる」と主張しました。しかし判決は、むしろ対立がある問題だからこそ公開すべきとしました。なぜ情報公開が必要なのかという問題までさかのぼった判断で、非公開での歴史改ざんは違法だとされたのです。府と大阪市はしっかり反省して、今後の対応にあたってほしいと思います。
(大阪民主新報、2019年6月9日号より)