「暮らしに希望を」の願いを日本共産党へ
参院選公示日 志位和夫委員長の訴え(詳報)
参院選公示日の4日、日本共産党の志位和夫委員長が大阪市北区のJR大阪駅前で、大阪での第一声を行いました。
〔年金〕7兆円もの削減か「減らない年金」か
年金の削減こそ「ばかげた政策」
志位氏はまず、大争点に浮上した年金問題について、「年金の2千万円の不足」とどまらず、年金の給付水準を引き下げる「マクロ経済スライド」が一番の問題だと指摘しました。
志位氏が党首討論で同制度の廃止を求めたのに対し、安倍晋三首相は「ばかげた政策」と拒否し、廃止には7兆円の財源が必要だと発言。「裏を返せば国民の年金を7兆円奪うと認めたものだ」と批判しました。
これが実行されれば、いま40歳以下の人は厚生年金も国民年金も月2万円、夫婦で4万円の減となり、現在の国民年金(満額で月6万5千円)は、3割減の4万5千円になります。
党首討論で安倍首相は「制度の安定のため」と発言したが、「制度がいくら安定しても、国民の暮らしが滅びれば、何のための公的年金か。いまでさえ貧しい年金を『マクロ経済スライド』でもっと貧しくする政策こそ、『ばかげた政策』だ」と断じました。
安心の年金への第一歩踏み出す
志位氏は「マクロ経済スライド」をやめて「減らない年金」にするため、具体的な財源策として、①高額所得者優遇の保険料の仕組みを正し、1兆円の保険料収入を増やす②200兆円もの巨額の年金積立金を、株式投資ではなく、年金給付に計画的に充てる③賃上げと正社員化で年金の支え手を強める――を提案。「これが持続可能な年金をつくる決め手。『マクロ経済スライド』で7兆円の年金を削るのか、それとも『減らない年金』にするのか。これが年金問題の最大の争点。日本共産党とたつみさんへの一票で、安心の年金への第一歩を踏み出そう」と呼び掛けました。
〔消費増税〕税決めるのは国民 今でも中止は可能
景気悪化の中で強行は愚の骨頂
消費税10%増税を許すかどうかも、参院選の大争点です。
党首討論で安倍首相は、「内需は堅調だから予定通り実行する」と発言したことに、志位氏は「内需は堅調とは、どこの国の話か。2014年の消費税8%増税で家計消費も実質賃金も減少。景気悪化の赤信号がともっているのに、増税強行は愚の骨頂だ」と述べました。
「増税は今からでも止められる」と志位氏。「税金のあり方を決めるのは、安倍首相ではありません。主権者である国民の皆さんの1票で決まる。参院選で野党を勝たせていただいて、日本共産党を伸ばしに伸ばしていただいて、たつみさんを必ず勝たせていただいて、10%は必ず止めよう」と訴えました。
財界に正面からモノを言える党
志位氏は「今求められているのは、家計を応援し、格差と貧困を正し、国民の皆さんが暮らしの明日に希望を持って暮らすことができる政治への切り替えだ」と力を込め、同党が掲げる「暮らしに希望を―3つの提案」を詳しく紹介しました。
同提案の実現に必要な新たな財源は7・5兆円ですが、「消費税に頼らない別の道」でつくれると訴えました。空前のもうけを上げる大企業や富裕層への優遇税制を正すなど、「政治の姿勢を変えれば、財源はつくれる」と強調。トランプ米大統領言いなりの高額の米国製兵器の「爆買い」をやめ、軍事費を暮らしに回させようと語りました。
志位氏は「この改革を実行するには、財界に正面からモノが言える政党が必要。日本共産党は党をつくって97年、びた一文、財界献金を受け取っていない。こういう党が伸びてこそ、皆さんの暮らしを良くする一番確かな力になる。『暮らしに希望を』の願いを日本共産党と、たつみさんに、どうか寄せてください」と訴えました。
〔憲法改正〕改憲ではなく9条生かす平和外交を
安倍首相が、「憲法を議論する党か、議論しない党かが争点だ」と述べていることに対して、志位氏は、「争点隠しだ」ときっぱりと指摘しました。
海外で無制限の武力行使可能に
安倍首相が福島県での第一声で、「憲法に自衛隊を明記するということを公約に掲げています」と述べており、「安倍9条改憲を許していいかどうかが本当の争点」と強調。9条に自衛隊を明記すれば、9条2項が死文化し、無制限の海外での武力行使が可能になるとし、「このような恐ろしい道は、断固として拒否しよう」と訴えました。
志位氏は、トランプ米大統領が記者会見で「日本が攻撃されれば、私たちは日本のためにたたかう。しかし米国が攻撃されても、日本はたたかう必要はない。変えなければならないと安倍首相に伝えた」と述べたことを紹介。「米国のために自衛隊はたたかえ」ということだと指摘しました。
9条を生かした平和の外交こそ
安倍首相も著書の中で、「軍事同盟とは“血の同盟”」とし、「自衛隊はアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない」「日米安保条約を堂々たる双務性にしていく」と同じ主張をしていると告発。「世界中に展開する米軍にことが起これば、米軍のために自衛隊が血を流す。ここにこそ、9条改憲の本当の狙いがある」と批判しました。
志位氏は、対話による朝鮮半島の非核化と平和体制構築の動きが再稼働しているとし、「今日本がなすべきは、9条を変えることではなく、9条を生かした平和外交」と強調。「世界に誇る平和憲法を守り生かそう。この願いは、党をつくって97年、一筋に反戦平和を貫いてきた日本共産党、たつみさんに託してください」と訴えました。
〔民主主義〕誰もが尊厳を持ち生きられる社会を
志位氏は、性暴力やハラスメントに対して勇気をもって声上げる人々に連帯する市民の運動が広がり、ILO(国際労働機関)でハラスメント禁止条約が可決されている中、志位氏は、「ジェンダー平等は、すべての人の人権と尊厳を大切にする社会への扉を開くもの。国内外での希望ある流れを大きな力にして、日本は今こそ、ジェンダー平等・後進国から抜け出そう」と呼び掛けました。
男女同権求めてたたってきた党
志位氏は、党首討論で選択的夫婦別姓に反対したのは安倍首相ただ一人だったとし、「ジェンダー平等社会をつくるためにも、安倍政権は退陣を」と訴えました。日本共産党の参院候補40人中、22人(55%)は女性だと紹介し、「女性がまったく無権利状態だった時代から、男女同権、両性の平等、女性差別撤廃を求めてたたかい続けてきた日本共産党の姿が示されている。力を合わせて、誰もが尊厳を持ち、自分らしく生きられる社会をつくろう」と語りました。
自公の最悪の補完勢力 維新にも審判を下そう
増税をごまかす「身を切る改革」
志位氏は、維新は安倍内閣不信任案に反対し、野党攻撃に明け暮れていると指摘。党首討論で維新の松井一郎代表が「国民に負担をお願いするなら、自分たちの身分を見直すべき」と質問したが、「増税はどんな理由でもやってはならない。増税をごまかすために『身を切る改革』とは、おかしな話。『身を切る改革』と言うなら、政党助成金は返上を」と語りました。
さらに松井氏が「共産党は文書通信交通滞在費(文通費)を公開するという公約をやっていない」と述べたが、志位氏はホームページで使途を公開していると反論しました。
領主書の発行も受取も同じ人物
志位氏は、維新の杉本和巳衆院議員は100万円の文通費を自分が支部長を務める政党支部に入れていると紹介。2枚の領収書を発行したのも、受け取ったのも杉本議員で、「何に使われたか分からない、まったくのブラックボックスだ」と批判しました。
志位氏は「維新の唯一の売り物の『身を切る改革』のでたらめさがはっきりした。大阪で、自民・公明とともに、その最悪の補完勢力である維新に退場の審判を下そう」と呼び掛けました。
市民と野党の共闘勝利 共産躍進・たつみ勝利を
志位氏は、先に述べた提案を実現する希望は、市民と野党との共闘にあると指摘。全国32の1人区すべてで野党統一候補が実現し、市民連合と憲法、消費税、原発、沖縄など国政の中心問題で13項目の旗印を掲げていると報告し、「最大限の協力でたたかい抜き、すべての1人区での勝利を目指して頑張り抜く」と決意を語りました。
さらに国民の切実な願いを実現しようとすると、「財界中心」「アメリカ言いなり」という、日本の政治の「2つのゆがみ」にぶつかると指摘。日本共産党は綱領で、「2つのゆがみ」を正す民主主義の大改革をやり、「国民が主人公」の国をつくろうと掲げている党だと紹介し、「この党を伸ばしてこそ、日本の政治を良くすることができる」と力説しました。「比例は共産党」の声を広げに広げ、山下副委員長はじめ7人以上の勝利と、大阪選挙区でのたつみ氏の再選を必ずと訴えました。
志位氏は、たつみ氏は「経済も外交もオールラウンドプレイヤー、大阪府民と国民の暮らしの苦しみに誰よりも耳に傾け、政治を変える力をもった政治家」と紹介。「まだ終わっていない森友問題の追及のためにも、絶対に国会になくてはならいのが、たつみさんの議席だ」と力説しました。
(大阪民主新報、2019年7月14日号より)