おおさかナウ

2019年09月08日

日本のどこにもカジノはいらない
維新・安倍政権 大阪カジノへまっしぐら
市民多数が反対 声上げよう

 大阪維新の会の府・大阪市政が、2025年5月に開催予定の万博と一体に、大阪市内の人工島・夢洲へのカジノ誘致に躍起になる中、荻生田自民党幹事長代理が整備を表明するなど、政府・与党も2025年大阪開業へ前のめりの姿勢を露骨に見せています。これに対し、「大阪にも日本のどこにもカジノはいらない」と市民らが声を上げ、宣伝や集会などを繰り広げています。

市民団体が相次ぎ宣伝・集会

夢洲カジノ万博の賛否を問うシールアンケートをする人たち=8月30日、大阪市都島区内

夢洲カジノ万博の賛否を問うシールアンケートをする人たち=8月30日、大阪市都島区内

 大阪維新の会の府・大阪市政は、「大阪経済を活性化させる」として関西財界、米カジノ大手事業者、吉本興業などと一体となって、カジノ・IR(統合型リゾート)の2025年開業へ執念を燃やしています。吉村洋文府知事、松井一郎大阪市長も出席した日経新聞社主催の「IRフォーラム」(8月8日、大阪市内)では、萩生田自民党幹事長代行が、「25年の大阪万博より前に夢洲のIRが開業していることが望ましい」とし、逆算して国のスケジュールを立てる考えを示したといわれています。
 一方、府民世論は「カジノ反対」が多数。どの世論調査でも過半数が反対です。カジノ反対大阪連絡会などが10月22日、大阪市内で開く「カジノあかん!市民集会」(別項)には、絵本作家の長谷川義史さんや、石田法子弁護士、平松邦夫元大阪市長らが呼び掛け人に名前を連ねています。
 「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」は、「大阪にも日本のどこにもカジノはいらない」と8月30日、大阪市都島区の京橋駅前で21回目の宣伝に取り組み、27人が参加。夢洲カジノ万博の賛否を問うシールアンケートで対話し、44人が反対署名に応じました。署名は9月、大阪市に提出します。
 宣伝では5人がリレートークしました。同ネットワーク代表の桜田照雄・阪南大学教授は、「カジノができて景気がよくなることはなく、必ず依存症に悩む人が出てくる」と強調。産業廃棄物や放射能がれきなど有害物質で埋め立てられている夢洲を掘り返して、高層建築物を建てようとしていることへの危険性や、南海トラフ地震が起きると380ヘクタールものがれきの処分地が必要だとする専門家の指摘を紹介。夢洲カジノ万博開催を批判しました。
 日本共産党の清水忠史衆院議員は、「松井知事や吉村市長はカジノで経済が成長すると言っているが、府・市のIR基本構想では入場客の8割は日本人。カジノで巻き上げたお金で税金が増えたと喜ぶのは、行政がすることではない」と述べ、「カジノ解禁法も実施法もできたが、まだ大阪にできるかどうかは決まっていない。〝あかんもんはあかん〟という声をはっきり上げていこう」と呼び掛けました。
 「あかんカジノ女性アピール」の川本幹子さんは、「ギャンブル依存症をなくす一番の解決策はカジノをつくらないこと」、生協労連の箕作勝則さんは、「カジノより暮らし、教育、医療に税金を」と訴えました。
 署名した60代の女性は、「カジノができたらギャンブル依存症も増えて治安が悪化する。そんなことを行政が絶対にするべきではない」と話し、70代の男性は、「カジノなんかで景気をよくしていこうというのは間違っている」と話していました。

10月22日に市民集会

 「カジノあかん!夢洲あぶない!ここで万博だいじょうぶ?10・22市民集会」(10月22日午後1時半~3時半、大阪市中央区・エルシアター。同実行委員会主催)は、長谷川義史(絵本作家)、石田法子(弁護士)、平松邦夫・元大阪市長、中野雅司(大阪を知り・考える市民の会世話人)はじめ各氏が呼び掛け人となって開かれます。
 田結庄良昭・神戸大学名誉教授が「夢洲の観光開発は危険でムダ」と題してミニ講演を行うほか、ビデオメッセージで、全国に広がるカジノ反対運動を紹介。夢洲への集客の危険性、韓国に見るカジノの悲惨、ギャンブル依存症の恐さなどについてのリレートークが行われ、集会後、パレードを予定しています。参加費500円。連絡先06・6358・9439。

9月14日に豊中で集会

 「大阪カジノに反対する市民の会」は9月14日(土)、豊中市のすてっぷホール(阪急豊中駅前)で同会結成1周年記念集会を開催。「カジノ解禁の法的問題点」と題して、大阪弁護士会消費者保護委員会の高橋敏信弁護士の講演などが行われます。参加費無料。連絡先=メール:info@nocasino.net FAX06・6843・0761。

行政のカジノ利益追求は違憲

カジノ問題を考える大阪ネットワーク代表
桜田照雄阪南大教授

恩恵は業者だけ 数万人の依存症

桜田照雄氏

桜田照雄氏

 大阪府知事も大阪市長も維新の議員も、「万博は一時のイベント。カジノで持続的な経済効果を」と、カジノが大阪の地域経済を活性化させる「起爆剤」だと口をそろえてきました。しかし、一部の業者がカジノへの商品供給の恩恵にあずかることがあっても、地域経済に無関心なIRカジノが、地域住民の「生活の質」を高める経済装置ではありえないことは明白です。
 推進派はカジノはもうかると宣伝し、カジノ事業者に年間3800億円もうけてもらうと言っています。1年間に6兆円もの賭博をやってもらって、カジノに3800億円の利益が転がり込み、大阪府は800億円の税金を納めてもらおうというもくろみです。
 しかし、800億円の税金を納めてもらうためには、400万人もの人々を賭博場に集めなければなりません。
 推進派も認めていますが、カジノに入った人の1~3%は確実に依存症になります。1年間に400万人の人々を集めて、4万人から12万人もの依存症患者が生み出されるのです。

税収は吹っ飛び膨大な支出必至

 しかも、少なく見積もっても、4万人の人が1人200万円の収入を失ったとしたら、それだけで大阪府がもくろんでいる800億円の税収はふっ飛びます。一方から税金をもらっても、他方で依存症対策のために膨大な支出を求められるのが、カジノの実体です。
 住民生活の幸福を追求すべき地方自治体が、環境保全を棚に上げ、利益供与に狂奔し、カジノ=賭博によって経済的利益を追求するのは、明白な憲法違反です。大阪府と大阪市とともに、カジノ万博開催に前のめりになっている安倍政権も同じです。
 大阪にも、日本のどこにもカジノはいりません。地域や住民の合意がなければカジノはつくれません。カジノより暮らし、カジノより防災の声を上げて、反対運動を強めていきましょう。

(大阪民主新報、2019年9月8日号より)

月別アーカイブ