永藤堺市長〝カジノで発展〟
反対の声受け止めよ
共産党 森田・藤本市議が代表質問
堺市議会の本会議で、日本共産党の森田晃一議員が3日、藤本幸子議員が4日、それぞれ大綱質疑(代表質問)に立ちました。
造らないことが最大の対策
森田氏は、6月の市長選で初当選した永藤英機市長(維新)の所信表明や政治姿勢について質問。永藤氏が8月の記者会見で、2025年の大阪万博やカジノを核とした統合型リゾート(IR)をめぐり、「堺が積極的に関わって、大阪全体の成長を堺の発展へとつなぎたい」と発言していることから、IR施設についての認識をただしました。
永藤氏は、IRはカジノを含む施設だと認めた上で、経済波及効果があるなどと答弁。「(ギャンブル依存症など)マイナスがあればしっかり対応するが、それを上回るプラス効果があれば、(誘致を)進めるべき」などと答えました。
森田氏は、大阪のカジノ構想はIR全体の8割をカジノで稼ぐ想定で、「IR全体がカジノのために存在している」と反論しました。堺市の「ギャンブル等依存症相談」には昨年4月時点で388件の相談があり、うち214件がパチンコだと指摘。「ギャンブル依存の問題は、当事者や家族にとって重大な問題で、社会的にも大きな損失。ギャンブル施設をつくらないのが最大の対策だ」と述べました
さらにNHKの世論調査(18年)で、カジノ誘致が「賛成」は17・0%なのに対し、「反対」は42・2%に上ることを示し、「大部分の住民が反対している。この声も受け止めるべきだ」と主張しました。
文化遺産を発信する施設に
堺市は、世界文化遺産に登録された百舌鳥古墳群の大山古墳(仁徳稜)の西側に、展望機能を含むガイダンス施設(整備費26億円)の建設を計画していました。ところが、前市政時代からの「全事業の見直し」を掲げる永藤氏は8月、建設中止を発表。大山公園レストハウスの活用と堺市博物館の展示内容の充実で、ガイダンス機能を確保するなどとしています。
森田氏は、1600年にわたる古墳の歴史や市民による保存活動など、世界文化遺産として発信すべき情報はたくさんあると指摘。ガイダンス施設のうち、展示・交流などに使う面積は1790平方㍍だったのに対し、大山公園レストハウスは500平方㍍で、大幅な縮小になるとし、「たぐいまれな歴史・文化を世界に発信するにふさわしいガイダンス施設をつくるべき」と永藤氏に求めました。
小学給食費の値上げ中止を
森田氏はさらに、堺市がことし10月から小学校給食費を1食当たり20円(年間4千円)値上げすることについて、「子どもの貧困が社会問題となり、行政の子育て支援策の強化、保護者の負担軽減が強く求められている。今回の値上げはこれに逆行するものだ」と厳しく批判。公費での負担軽減を求めました。
市教委は「食材価格の高騰」などが値上げの理由だと説明。森田氏は、そもそも学校給食は教育そのものであり、日本国憲法の下では本来無償であるべきものだと力説。値上げを中止し、市の財源を使ってでも引き下げることが必要だと主張しました。
特例制度継続拡充こそ必要
藤本氏は質問で、市が水道料金引き下げと同時に、社会福祉施設の水道料金を軽減する特例制度を廃止しようとしている問題を取り上げました。12月から半年間の激変緩和措置を経て廃止するもので、58施設で計約6500万円の負担増になります。
制度廃止による増収は水道事業収入の0・4%に過ぎないことから、藤本氏は「今やるべきではない」ときっぱり。厳しい運営を強いられている児童養護施設の実情を紹介しながら、「こんなささやかな施策を切り捨てるような、弱い者いじめをするな」と強調し、制度の継続と拡充を求めました。
自立支援施設の計画進めよ
また藤本氏は、永藤市長が8月、南区で計画していた児童自立支援施設(整備費35億円)の建設を中断すると表明した問題で質問しました。
施設建設は保護司会からも強い要望が出され、昨年の市議会では、計画用地の取得が維新も含め全会一致で採択されていることを示し、「市長が議会にもはからず決めることは許されない」と批判。中断を見直し、施設計画を進めるよう求めました。
藤本氏は7月の参院選比例代表選挙で、堺市美原区での日本共産党の山下芳生氏の得票が「0」だったのはおかしいとして、同区の住民が解明を求めている問題に言及。堺市選管の対応を厳しくただし、「再度起きれば選挙への信用は失墜し、投票率はさらに下がり、政治への信頼も失われる」と述べ、厳正に業務にあたるよう求めました。
(大阪民主新報、2019年9月15日号より)