日本共産党議員の質問から
大阪市議会 各委員会
1日から3日まで大阪市議会の各委員会が開かれました。日本共産党の質問を紹介します。
環境アセス肩代わりに根拠なし
大阪市議会都市経済委 井上議員が質問
都市経済委員会(1日)で井上浩議員は、カジノを核とする統合型リゾート(IR)の事業化に向けた環境アセスメントにかかわる夢洲の現況調査を、大阪府市が肩代わりして実施する補正予算案について質問しました。
井上氏は、過去にこうした事例があったのかと問い、「事業者が本来実施するものを行政が費用を立て替えて実施する根拠は何か」とただしました。IR推進局が「事例はないが、必ずしも事業者が実施しなければならないものではない」と答えたのに対し、「市は事業者ではない。IR・カジノ事業者への特例的なやり方はやめるべき」と批判しました。
井上氏は、夢洲でのしゅんせつ土砂は、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(海防法)」に基づいて受け入れ基準を定めてきたが、ダイオキシン類の受け入れ基準を追加した2003年以前は、高濃度のダイオキシンを含む土砂を受け入れてきたのではないかと指摘しました。
市が「ただちに汚染土砂と判断されるものではない」と答弁したのに対し、「今の基準に照らせば汚染土砂と言えるもので、特段の配慮が必要だ」と述べました。
また埋め立て地としての地盤沈下や、地震や台風などの自然災害に対応する上で、懸念があるとし、「スケジュールありき」で進めようとしていることを厳しく批判しました。
安心の出産と医療へ責任果たせ
大阪市議会民生保健委 寺戸議員が質問
民生保健委員会(1日)で寺戸月美議員は、住吉市民病院(大阪市住之江区)が昨年3月末に廃止されて以後の影響や、同病院の跡地に整備される新病院の問題などについて質問しました。
大阪市は、2024年を目標に新病院を整備する方針です。それまでの暫定措置として住之江診療所を開設しますが、入院ベッドはなく、外来診療は産科も小児科も午前中だけです。出産は府立急性期・総合医療センター(住吉区)に併設された「住吉母子医療センター」を利用しなければなりません。
寺戸氏は、急性期総合医療センターと直線距離で2㌔㍍しか離れていないことを理由に住吉市民病院を廃止したが、交通手段が少ない中で、住之江区に住む妊婦や保護者にとって「母子医療センター」への通院は大きな負担になっていると指摘。地域住民の希望も聞き、独自の巡回バスを運行するよう求めました。
また新病院の「基本構想」について住民説明会を開くよう要求したのに対し、市はパブリックコメントを実施したことを理由に、「現時点で住民説明会を開催する予定はない」と答弁しました。寺戸氏は「とんでもないことだ」と厳しく批判。住民の声を誠実に聞き、当初の約束通り、「小児科10床以上」「産科10床以上」の病床を、市の責任で確保するよう強く求めました。
詰め込みでなく保育所を増やせ
大阪市議会教育こども委 長岡議員が質問
教育こども委員会(2日)で長岡ゆりこ議員は、保育所の面積基準を緩和する特例措置を再延長する条例改正案について質問しました。
特例措置は「待機児解消」を理由に、橋下市政時代の12年に導入されました。1歳児は本来1人当たり3・3平方㍍の面積が必要なのに、1・65平方㍍を確保すれば入所可能に。0歳児は市の基準5平方㍍を1・65平方㍍で構わないとするもの。2年間の措置期間が来年3月末まで延長され、今回の条例改正でさらに3年間しようとしています。
長岡氏は、市はことし4月現在の待機児童数を28人と公表したが、市内保育所の4割に特例措置が適用され、約1千人の子どもたちが詰め込まれていると指摘。「本来は来年3月末で特例措置は終わり、緩和措置の対象の子どもはゼロにすべきだったのに、現時点で1千人いるというのは、市の怠慢だ」と強調しました。
さらに「面積基準は安全基準。保育の質をきっちり確保した認可保育所の整備で待機児解消を進めよ」と求めました。
また大阪市立高校全21校を府立に移管する方針について質問。市立高校の特色ある教育内容が、府への移管で引き継がれるか不安があるなどの問題点を挙げ、「移管方針を市長のトップダウンの指示だけで決めてしまうのは、あまりにも乱暴」と批判しました。
(大阪民主新報、2019年10月13日号より)