おおさかナウ

2019年10月13日

緊急対談
還流疑惑を解明し原発ゼロへ

大阪の皆さん今立ち上がって

明通寺住職 中嶌哲演さん
前参院議員 たつみコータローさん

対談するたつみさん

対談するたつみさん

 日本共産党のたつみコータロー前参院議員(参院大阪選挙区候補)が7日、原発立地の福井県若狭地区に入り、小浜市で長年原発反対運動に取り組む明通寺住職、中嶌哲演さんを訪ねました。一連の原発マネー還流疑惑について始まった懇談は、若狭地区の原発の現状から、原発ゼロ社会実現に向けた課題と展望にまで広がりました。

中嶌 たつみさん、お久しぶりです。
たつみ ご無沙汰しています。議員時代にはたくさん勉強させていただきありがとうございます。
中嶌 私も今年喜寿を迎えました。若いころは原発に抗議して断食すると、敏感に身体に影響が出たのですが、今春、原発再稼働に抗議の断食をした時は、不思議につらいとも思いませんでした。
たつみ 1日も早く原発のない社会を実現させたいと思います。私も3年後の参院選に挑戦し、必ず国政の場へ復帰します。
中嶌 必ず国会へ戻ってほしいと思います。

経営陣のモラル感覚の欠如

中嶌さん

中嶌さん

たつみ 関西電力を巡り巨額の原発マネーが還流する疑惑が明るみに出ました。
中嶌 利用者のお金が裏金に回って着服された。
たつみ 悪質な企業犯罪ともいえる構図が見えてきます。
中嶌 関西電力の企業倫理は完全に地に落ちました。関電経営陣のモラル感覚の欠如にもあらためて驚きました。
たつみ 関電の社内報告書に目を通しても「自分たちが被害者」だという書き方で、これはひどいなと感じました。
中嶌 隠蔽的な企業体質は変わっていません。今回も関電だけに任せても、自浄能力は発揮されないと思います。
たつみ 問題はまだまだ氷山の一角だと思います。巨額の利益を生み出す原発の利権構造を、きっぱり正すところまでいかなければなりませんね。

告発者の思いを無にしない

中嶌 本当にそうです。6月中旬に届いた「関電良くし隊」の告発文は、関電内部からの自浄作用の現れです。そこに希望を感じます。
たつみ 中嶌さんは今年3月4日に関電本店前で、高浜原発1、2号機などの再稼働見直しを求める抗議の「断食」をされました。それとほぼ同じ時期に、株主総会を前後し、岩根社長宛てに社内告発が続いていたのですね。
中嶌 実は告発文を受け取り、「どうしたら良いか」と逡巡もありました。内部告発者の思いを無にしてはなりません。真相解明をして、関電の企業体質を今度こそ変えてもらわなければと思います。

国の政策根本的に転換する

たつみ 政治の責任も重いと思います。運転期間40年を超えた高浜1・2号基などの老朽炉も、「当然廃炉に」との願いを踏みにじり延長を認めてしまった。
中嶌 原発再稼働も必要ありません。「新規制基準」で巨費を投じ追加工事をするより、廃炉にしたほうがはるかに安上がり。電力会社もリスクを負わず、国民にもメリットがあります。
たつみ 完全に破綻している「核燃料サイクル」にしがみつき、原発を推進する国のエネルギー政策を、根本的に転換しなければなりません。
中嶌 関電に多額の金品を渡していた故・森山元高浜町助役や、「吉田開発」の責任は決して免罪できません。しかし不正の背景にある最大の問題は、関西電力が汚い金を大量に使って、過疎の地域に危険な原発を押し付けてきたことです。その利権と腐敗の構造そのものをなくさなければなりません。

原発ある限り解決はしない

中嶌哲演住職と談笑しながら寺内をまわる辰巳氏

中嶌哲演住職と談笑しながら寺内をまわる辰巳氏

たつみ 原発がある限り、本質的問題は解決しません。国民多数が願う原発ゼロ社会へ力を尽くしたいと思います。
中嶌 野党が国会に共同提出した「原発ゼロ法案」は、格調高い前文と25の条文に私たちの願いが反映されています。必ず審議入りしてほしい。
たつみ 国民の中で原発やエネルギーの未来について、議論を深めるチャンスだと思います。
中嶌 原発問題では、電力消費地である大阪、そして関西の市民の皆さんにも、責任の一端があると思っています。
たつみ 大阪市は関西電力の筆頭株主です。私たちが払う電気料金が原資になって、利益供与など不正・腐敗につながっていた。
中嶌 市民の皆さんが株主であるような大企業が、若狭に対して汚い金をばらまき、危険な原発を運転・再稼働しようとしている。こんなことを容認するのですかと問い掛けたいのです。

大阪から世論と運動を広げ

たつみ 一市民としても絶対に許すことはできません。大阪から世論と運動を広げていきたいと思います。
中嶌 10月16日には、福井地裁で大飯原発の運転差し止めを求める仮処分申立の決定が出ます。私たちは、司法の良心と勇断による倫理的決断を期待しています。
 これも注視していただきたいし、高浜原発を11月23日に出発するリレーデモが、12月8日には関電本店前に到着します。
たつみ 若狭はもちろん全国の原発立地で頑張っている皆さんと手を結び、原発マネーの還流疑惑を徹底解明し、原発再稼働阻止、そして原発ゼロ社会の実現を目指したいと思います。
中嶌 ご一緒に頑張っていきましょう。
たつみ 今日はありがとうございました。

(大阪民主新報、2019年10月13日号より)

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