おおさかナウ

2019年12月01日

豊かに発展させた世界論を力に
世界と日本の変革の展望語る
共産党綱領改定案 志位委員長が講演

 日本共産党大阪府委員会は11月24日、志位和夫委員長を迎えて講演会「世界と日本の変革の展望」を東大阪市内で開催し、約1300人が参加しました。志位委員長は来年1月に開催する第28回党大会に向け、全党討議を呼び掛けている綱領改定案の「世界論」を中心に、着実に進歩を遂げてきた人類史の歩みを豊富な実例と体験・エピソードを交えて紹介。日本共産党の存在と活動が20世紀の人類史の偉大な進歩における不滅の一部になっているとし、「ここに確信を持ち、新しい世界論を力に日本共産党の躍進を目指しましょう」と呼び掛けました。

豊かに発展した「世界論」を中心に講演し、日本を変革し「未踏の地」へのトップランナーになろうと呼び掛ける志位委員長=11月24日、東大阪市内

豊かに発展した「世界論」を中心に講演し、日本を変革し「未踏の地」へのトップランナーになろうと呼び掛ける志位委員長=11月24日、東大阪市内

20世紀の人類の進歩を立体的一体的につかむ

講演する志位委員長=11月24日、東大阪市内

講演する志位委員長=11月24日、東大阪市内

 「歴史の断面だけでなく、大きなスケールで大局的な流れをつかむと、違った世界の姿が見えてきます。紆余曲折や逆行を経ながら、人類は着実に進歩の歩みを刻んでいます」
 講演の冒頭、志位氏はこう語り、軍国主義とファシズムの台頭、2つの世界大戦やホロコースト、原爆投下など「戦争の世紀」と呼ばれ多くの人命が失われた20世紀の歴史を紹介するとともに、「20世紀には、人類史の画期をなす巨大な変化が進んだ」と力説。①植民地体制の崩壊、②国民主権と民主主義の発展、③平和の国際秩序の構築――について詳述しました。
 志位氏は、「20世紀の3つの世界的変化はどれも偉大だが、並列扱いではありません」と指摘。戦後の国際社会に登場した人権保障の課題を取り上げて、「21世紀に人権擁護・発展の課題は、国内問題ではなく国際社会における国家の義務になった」と強調しました。この人権擁護の課題を、改定案の重要ポイントとして明記したと述べ、「植民地体制の崩壊という世界の構造変化が軸になり、100を超える主権国家の誕生と民主主義と人権の豊かな発展が促進され、平和の国際秩序の発展がもたらされた。この3つの変化を立体的・一体的につかめる内容に補強したのが綱領改定案です」と語りました。
 志位氏は、20世紀論の最後に、1922年に創立され97年の歴史を持つ日本共産党の存在と活動を取り上げました。

日本共産党の存在と活動は人類進歩の不滅の一部

 命懸けで侵略戦争と植民地支配に反対し、戦後も独立と平和、民主主義と人権発展に尽くした歴史に触れ、「日本共産党の存在と活動は20世紀の人類史の偉大な進歩の歴史において、不滅の一部になっている」と強調しました。

中国の誤りを指摘―世界の平和・進歩の力に

 国際社会における中国の現状について、志位氏は、核兵器禁止条約に背を向けている問題、東シナ海と南シナ海での覇権主義的行動、国際会議の民主的運営を踏みにじる横暴、人権問題の深刻化を列挙し、「どれも社会主義原則や理念と両立できない行動です。中国について『社会主義を目指す新しい探求が開始』された国と判断する根拠はなくなりました」と語りました。
 中国の誤りへの批判・指摘は、日本共産党を中国共産党と同一視する誤解・偏見を解くということだけではなく、世界の平和と進歩に大義ある取り組みだと強調。「どんな大国の言いなりにもならず、自主独立を貫いてきた党として、国際的責任を果たしたい」と表明しました。

発達した資本主義での社会変革へ力を尽くす

 21世紀の世界をどう見るかについて志位氏は、▽核兵器禁止など国際政治の舞台で主役が交代▽東南アジア諸国連合の経験など平和の地域協力の形成▽ジェンダー平等など国際的な人権保障の発展――の観点を示し、世界の構造変化が生きた力を発揮したと強調しました。
 さらに、貧富の格差の拡大や気候変動問題を取り上げ、「資本主義の枠内でも、是正・抑制のための緊急で最大の取り組みが必要です。それでもなお抑制できないとなれば、資本主義というシステムを根本から変革することが求められるでしょう」と述べました。
 覇権主義的動きを強める米国の動向に触れ、世界514の海外米軍基地のうち121が、沖縄を中心に日本に集中すると紹介しました。
 綱領改定案で豊かに発展させられた世界論を踏まえ、志位氏は、綱領第5章「未来社会論」について話を進めました。

いまの私たちのたたかいが、未来社会に受け継がれていく

 「資本主義の発展が遅れた国々における社会主義的変革には大きな困難が伴う」、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」と改定案で新たに打ち出した命題の意義を解説し、「この日本から社会変革を進め、地球上でまだ誰も踏み出したことのない未踏の道へのトップランナーになれるよう、お互いに力を尽くしましょうとの決意を示したものです」と述べました。
 志位氏は、資本主義の発展を通じて、▽高度な生産力▽経済を社会的に規制・管理する仕組み▽生活と暮らし守るルール▽自由と民主主義の制度と国民のたたかいの歴史的経験▽人間の豊かな個性――の5つの未来社会を準備する条件が作り出されるとし、「人民のたたかいによって初めて実現される要素もある」と強調しました。
 志位氏は、日本国憲法の制定過程やマルクスが『資本論』草稿執筆で残したノートにも触れながら、「いまの私たちのたたかいが、未来社会に受け継がれていく」と指摘し、「綱領改定案に書かれた世界論は、遠い世界の話ではありません。今の日本で私たちのたたかいを前進させ、日本共産党の躍進を勝ち取る上でも大きな力になります。ここに確信を持って21世紀に臨みましょう」と呼び掛けました。

(大阪民主新報、2019年12月1日号より)

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