大阪市議会 日本共産党議員の質問
12月4日から6日にかけて開かれた大阪市議会各常任委員会での日本共産党議員の質問を紹介します。
住民投票に永住外国人も
財政総務委で山中智子議員
財政総務委員会(6日)で山中智子議員は、大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の住民投票に、永住外国人も参加できるよう求めた陳情などについて質問しました。
全国では、一定の条件の下に永住外国人を対象に加えた住民投票の例は、40自治体以上に広がっています。山中氏は、「都」構想の住民投票は「国の参政権ではなく、自分が住んでいる大阪市をなくすかどうかという大きな問題だ」と強調しました。
「地方自治、住民が主人公の立場に立つなら、永住外国人を締め出す理由はどこにもない」と主張。「都」構想の住民投票について定めた大都市法は、永住外国人の参加を認めていないことから、同法の改正を国に求める意見書を発議するよう呼び掛けました。
山中氏は、「都」構想の制度案を議論する法定協を巡り、昨年末までの23回の協議会では何も決められず、案の修正もなかったと述べました。ところが4月の選挙後は、一部会派の修正意見を取り込んで議論が急変し、この数カ月間で次々に制度案の方向性が確認されていると指摘。「市民のための議論ではなく、政局で決められている」と批判しました。
「特別区」に新庁舎を建設せず、現在の大阪市役所本庁舎を利用する「合同庁舎」案は、制度案の方針を大転換する問題だが24分しか議論しておらず、議員定数問題の審議はわずか13分26秒だったとし、「(住民投票ありきという)スケジュールありきだ。時間をかけて議論すればぼろが出るだけから、数の力で決まったかのように対応する今の流れは、許されない」と力説しました。
反対が根強いカジノ誘致
都市経済委で井上浩議員
都市経済委員会(4日)で井上浩議員は、カジノを核とする統合型リゾート(IR)誘致に向けて府市共同設置のIR推進局が公表した「実施方針」案などについて質問しました。
井上氏は、府市が当初掲げていた「2025年の大阪万博前の全面開業」が非常に難しいと言われるようになり、大阪市民の中でも反対の声が根強いと指摘。IRに対する市民の理解度についてただしました。
IR推進局は、市民向けセミナーの参加者アンケートで、9割以上がセミナーの内容を「理解できた」「ある程度理解できた」と回答したことを挙げて、「正しい理解が進んでいる」などと述べるだけで、まともに答弁できませんでした。
井上氏は、北海道の鈴木直道知事がIRの道内誘致断念を表明し、その理由として自然環境への影響、66%の道民が不安や懸念を示していることなど挙げているとし、「(大阪で)市民の理解度や認知度について答えられないのは問題だ」と指摘しました。
「実施方針」案では、大阪湾の埋め立て地・夢洲でのIRの事業期間を35年間と設定しています。井上氏は、もともと商業地ではなかった夢洲で長期にわたって事業を行うこと自体が最大の問題であり、これまでも防災面や環境面での課題を繰り返し指摘したと述べました。
さらに同じ夢洲で開く大阪万博のための工事との兼ね合いなど事業スケジュールから、マスコミでも「万博夢洲整備綱渡り」(「毎日」)などの論調が生まれているとし、「これらを正面から捉えないと大変なことになる」と懸念を表明しました。
強制的差し押さえやめよ
民生保健委で寺戸月美議員
民生保健委員会(4日)で寺戸月美議員は、国民健康保険料(国保料)の滞納世帯への財産調査や財産差し押さえ問題で質問しました。
橋下市政誕生前の2011年度と18年度を比べると、滞納世帯への財産調査は72万件から144万件へと2倍に増え、財産差し押さえは1608件から7780件へと約5倍に急増。給与の差し押さえも増えています。
寺戸氏は、国保料は自主納付が当たり前で、財産差し押さえで強制的に徴収するやり方は極力避けるよう要求。給与の財産調査や差し押さえは、被保険者が雇用されている会社抜きには実施できず、財産調査を行った時点で、職務とは関係ない立ち入った個人情報を、本人の了解なしに開示することになることから、極めて慎重に対処すべきものだと述べました。
国保加入の労働者は、ほとんどが非正規雇用だと指摘。財産調査などをきっかけに退職に追い込まれると、生活が破壊され、国保の事業運営にも悪影響を与えると主張しました。
給与の差し押さえは西淀川区が18年度56件で、市全体の約64%を占めていることは「極めて異常だ」と指摘。市側が「西淀川区での滞納整理のノウハウを各区に広げ、全体の底上げを図る」と答弁したのに対し、「言語道断だ」と批判しました。
また給与を振り込んだ預金口座の差し押さえを違法とした大阪高裁の確定判決(ことし9月)を紹介。預金の差し押さえの決定通知には、預金の原資が給与であることを示せば、生活費に当たる給与差し押さえ額は「返還される可能性がある」との一文を同封するよう求めました。
学校給食無償に踏み出せ
教育こども委で長岡ゆりこ議員
教育こども委員会(5日)で長岡ゆりこ議員は、学校給食の無償化や就学援助の充実、学童保育の発展などを求めて質問しました。
給食費の無償化は、貧困対策としても、子育て支援策としても、大阪市として特に進めていくべき課題だと強調しました。
ことし4月から小中学校で無償化を始めた田尻町は一般会計の0・62%を割いているが、大阪市で必要な予算は約60億円で、一般財源1兆8353億円の0・33%に過ぎないと指摘。「大阪市が政令市のトップバッターとして名乗りを上げる時だ」と述べました。
大阪市では就学援助の所得基準を、前年度の生活保護基準に基づいて算定。昨年から3年連続で生活保護基準が引き下げられるため、就学援助の認定額が自動的に引き下げられてしまいます。
長岡氏は、4人きょうだいの長女の大学生が、父親の負担を軽くしようとアルバイトしたところ、小学4年生の末弟の就学援助が切られ、父親は厳しい家計の中で給食費や教材費の負担に苦しみ抜いている実例を紹介。「貧困対策で一番実効性があり、現場の保護者に最も求められているのが、給食費無償化と就学援助の充実だ」と力説し、予算措置などを求めました。
長岡氏は学童保育での障害児の受け入れには、国基準では1人当たり184万7千円の加算となっているが、大阪市ではその18~24%しか補助金を出していないと指摘。「障害を持つ子どもたちに、安心して学童保育に来てもらうためには、指導員の加配を見込んだ補助金が必要。大阪市も、最低でも国基準に合わせたものにすべきだ」と迫りました。
長岡ゆりこ議員
(大阪民主新報、2019年12月22日号より)