おおさかナウ

2020年01月19日

無料の敬老パスを守ろう
高槻市 一部自己負担導入打ち出す
市民が署名運動 反響大きく

 高槻市(濱田剛史市長)が、70歳以上の高槻市民が対象の市営バス高齢者無料乗車証(敬老パス)の一部自己負担導入を打ち出した問題で、市民有志でつくる「市バス・敬老パスを守る連絡会」が10日、JR高槻駅前で、無料制度継続を求める署名行動に取り組みました。先月20日から始まった街頭署名では毎回400~500人が賛同し、この日も計500人以上の署名を集めました。

高齢者になくてはならないパス

無料の敬老パスを守ろうと署名を集める市民ら=10日、高槻市内

無料の敬老パスを守ろうと署名を集める市民ら=10日、高槻市内

 「昨年、転倒事故を起こし、自転車に乗るのをやめました」。日々の買い物や通院で市バスを利用するという女性(72)は、市内全域に路線がある市バスが、唯一の移動手段だと語ります。月2回の通院の時、複数路線を乗り継ぐために、往復で4回の乗車(一般運賃880円)が必要です。
 「運賃無料の敬老パスがあれば、安心して外出できる。高齢者にとってなくてはならない敬老パスを守ってほしい」と署名に協力しました。
 「祖父母が健康を維持できるのは、敬老パスのおかげです」と市内の大学に通う女子学生が語ります。自宅は、市バス路線の終点近くです。祖父母がバスを利用し外出した日は、万歩計が8千歩を超えることも珍しくないと笑います。
 「敬老パスがあれば、確実に外出の機会は増えます。お年寄りの健康増進のため、現行制度を維持してほしいです」

一部自己負担案2月議会で提案

 高槻市の敬老パスは1972年、高齢者の外出支援や社会参加促進などを目的に創設され、47年間維持されてきました。
 高槻市当局は昨年6月、制度の見直しを表明。12月市議会に示された見直し案は、▽無料の対象年齢を75歳に引き上げる▽70~74歳は1乗車100円を負担する――という内容です。審議会の答申結果などを踏まえ、市は2月市議会に提案し、2021年度に一部自己負担導入を目指す方針だといいます。
 この事態を受けて12月、幅広い市民でつくる「市バス・敬老パスを守る連絡会」が結成されました。署名運動を始めるとともに、住民説明会開催など丁寧な対応をするよう市に要請しました。

人口1割目標に署名運動を強化

 連絡会の署名活動に、市民の反響が広がっています。「運転免許証を返納し、市バスだけが頼りです」(83歳・男性)、「母の外出を支えてくれる敬老パスを維持してほしい」(50歳・会社員男性)など、無料パス存続は幅広い世代の願いとなっています。
 連絡会は当面、毎週金曜にJR高槻駅前で署名活動を行います。2月中にも濱田市長宛てに提出する予定で、同市人口の1割に当たる3万5千筆が目標です。

22日午後6時半から緊急講演会

 連絡会は22日(水)午後6時半から、同市のクロスパル高槻8階イベントホールで、緊急講演会「高齢者も気軽に出かけられるまちに 市バス、70歳からの敬老パスの継続を」を開きます。、立命館大学名誉教授の土居靖範氏(交通経営・政策)が講演します。

健康増進・社会参加・CO2削減
敬老パスの効果は明らか

 敬老パスの効果は、高槻市自身が認めています。
 同市が敬老パスの経済効果や利用実態を調べるため実施した「市営バス利用実態アンケート調査」報告書によると、買い物や飲食代、娯楽、医療など、年間32億円の経済効果(間接効果除く)を算出。外出頻度は週当たり1・3日増、1日当たりの歩行数が増えるなど、社会参加や健康効果の高さを裏付けています。さらに、年間806㌧の二酸化炭素排出削減効果もあるとしています。
 こうした効果は、各種の統計数値にも現れています。同市は、介護に頼らず自立して過ごせる期間を示す健康寿命は府内第2位です。介護事業費は府平均より65億円以上少なく、2018~20年の介護保険料は、府内で最も低くなっています。


(大阪民主新報、2020年1月19日号より)

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