おおさかナウ

2020年02月22日

府民の実情省みず〝成長〟叫ぶ
大阪府が来年度予算案を発表

 府は18日に来年度当初予算案を発表しました。予算規模は一般会計2兆6368億円、特別会計3兆94億円、計5兆6461億円です。「成長し続ける大阪」と言いながら、所得減と消費税増税に苦しむ府民生活の実情を省みるものとはなっていません。

府民関連は貧弱

 防災・安全対策は、万博関連の予算化の一方、府民生活に関わる部分では貧弱です。府管理の河川のうち、台風・豪雨時に危険とされる56河川の対策は30年かかる計画です。
 国民健康保険料は府内統一化を目指し、値上げに踏み切る自治体の割合は全国一。国保料が所得に占める割合は府内で16・7%と全国平均より重い負担です。介護保険料も全国より13%高くなります。
 新子育て支援交付金や子どもの貧困緊急対策事業費補助金も拡充されず、貧困世帯の子どもを支援する「子ども輝く未来基金」や放課後児童クラブ(学童保育)整備予算は減ります。
 老人医療費助成が来年3月末で打ち切られ、重度以外の65歳以上の難病患者ら約3万5千人が切り捨てられることになります。また指定難病は増えているにもかかわらず、対策費を減らします。国が進める公立・公的病院の再編統合も、府は推進する立場です。

少人数学級せず

 学校ごとのテストの成績が生徒個人の成績に反映する中学生チャレンジテストは、1・2年生にまで同じ仕組みを広げ、3年生では引き続き高校の入試選抜に活用。21年には小学5・6年生でも独自テストを始め、これらに毎年約6億6千万円を投じます。全国平均より低い子どもの体力・運動能力の対策に、来年度から小学生3・4年生で府独自の「小学生新体力テスト」を実施。少人数学級の拡充には背を向けています。
 府大・大阪市大の授業料「無償化」は、3年以上府内に在住する学生以外は対象外です。
 一方で予算案は、地下高速鉄道なにわ筋線や、阪神高速道路淀川左岸線延伸部に加え、「なにわ筋線連絡線・新大阪連絡線」なども新たに検討しています。

カジノ誘致推進

 カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致でも、吉村洋文知事は汚職の全容解明を待たず進める一方で、ギャンブル依存症対策はおざなりです。府咲州庁舎は来年度も18億円以上の改修費用が予算計上されます。

前進した施策も

 日本共産党府議団と府民の運動で前進もあります。災害時に必要なブルーシートの備蓄は、最終的に費用を市町村に負担させる問題を残しながらも始まります。精神病床入院の医療費助成は打ち切り方針が一転、継続に。新型コロナウイルス対策で経営に打撃を受ける企業への緊急融資制度や、性的マイノリティー当事者らのカップルの「パートナーシップ制度」も創設。警察に行けない性暴力被害者の医療費支援も、来年度ようやく予算化されます。

(大阪民主新報、2020年2月23日号より)

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