子どもに向き合い解決の道を
日本共産党八尾市議団 いじめ問題で学習会
八尾市立小学校6年の女子児童が、同級生からのいじめで不登校になり、同市で初めていじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」となっている問題をめぐり、子どもたちに向き合い、いじめ問題の解決の道をともに考え合おうと、日本共産党八尾市議会議員団が8日、同市内で学習会を開きました。
女子児童が4年生だった2018年2月、八尾市内の公園で同級生の男子児童から暴力を振るわれ、左手の小指を骨折するなどのけがを負いました。女子児童の保護者からの訴えで、市教委は同年7月に調査委員会を設置し、19年6月に調査報告書を公表。保護者からの再度の訴えを受けて、同年7月に再調査委員会が設置されました。
再調査委員会は、今回の問題をいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」として取り扱い、事実関係の検証や再発防止の検討を進め、ことし1月に報告書を公表。学校や教育委員会の対応について、事件発生当時の初期対応の問題やいじめに対する認識不足などの問題点を指摘し、今後の対策でも、体制整備や予防の課題を提言しています。
八尾市の現状などについて田中裕子議員が報告しました。昨年10月に市議会決算委員会に出された資料では、同市でのいじめ発生件数(18年度)は、28ある小学校で57件、15ある中学校で29件と、小中合わせて1校当たり約2件だと指摘。一方で、ある小学校の児童アンケートで、「最近いじめにあっている」との回答が、1年生だけで17人に上っていることを示しました。
田中市議は、再調査委員会の提言が、学校現場や教育委員会でいじめへの認識が非常に不十分だったと指摘していることを紹介し、「いま学校現場、教育委員会、保護者、地域が、本当に子どもたちの状態に正面から向かい合うことができているかが問われている」と語りました。
いじめは人権侵害であり暴力
職員・保護者の立ち上がりを
藤森毅党中央文教委員会責任者が講演
いじめと扱わない対応で二度傷付く
日本共産党中央委員会の藤森毅・文教委員会責任者は、いじめ被害の深刻さから出発することの大切さを強調しました。
藤森氏は、さまざまな事例を交え、いじめは相手に恥辱や恐怖を与えて支配するもので、人権侵害であり暴力だと指摘し、「『いじめられてもいい』子どもは、この世に一人もいない」と述べました。さらに「いじめをいじめと扱わない対応」により、被害者と家族は二度傷付けられると語りました。
藤森氏は報告書から、当該女子児童は男子からの執拗な悪口、暴力を受けるかもしれない恐怖で、2年生の10月には頭痛、腹痛、嘔吐感があったことを指摘。学校が女子児童の「反撃」をもってけんか扱いしたことが、児童を追いつめた問題も述べました。
いじめのピークとなった翌年2月の骨折に対する「学校外だから関われない」との対応を含め、報告書の「いじめ被害者心理の認識不足」という指摘を、今後に生かす重要性を強調しました。
いじめを解決した各地の経験に学び
藤森氏は、日本共産党の提言「いじめのない学校と社会を」(2012年)について、子どもの命を守るための共同という観点から、いじめを解決した各地の経験に学んだものと紹介。①子どもの命最優先②様子見せずにすぐ立ち上がる③いじめられている子どもの安全確保・いじめている子どもがいじめを止めるまで対応④子どもの自主的活動の重視⑤被害者・家族の知る権利、⑥教職員の多忙化解消など、条件整備の6点などに言及しました。
学校対応を改善することが〝主戦場〟
さらに「学校・教育委員会では駄目だから、首長が対応する」という動向について触れ、被害者の窓口設置や教育予算増などで首長が役割を果たすことは大切としつつ、「学校・教育委員会の対応を、子どもの命最優先の、真に教育的な対応に改善することこそ、〝主戦場〟のはず」と強調。「八尾市でも当事者・教職員の意見をよく聞き、調査委員会と再調査委員会の2つの報告書を生かすことが大切だ」と問題提起しました。
(大阪民主新報、2020年2月23日号より)