第32回法定協 「サービス維持」に保証なし
大阪市廃止・分割の「都」構想協定書案
「法的に拘束されない」
山中共産党市議団長 〝市民たばかるもの〟
大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の制度案を議論する第32回大都市制度(特別区設置)協議会(法定協議会)が1月31日、大阪市役所内で開かれ、住民投票のための「特別区設置協定書案」などが示されました。
特別区長や特別区議会の裁量権
「協定書案」は、大阪市の住民サービスについて「特別区設置の際は維持するものとする」「設置以後は維持することに努める」としています。日本共産党の山中智子大阪市議団長は、「協定書にうたったところで、どういう意味があるのか」と問い掛け、維持するかどうかは特別区長なり特別区議会の裁量権に属することで、「何の縛りもない」としました。
「協定書案」をまとめた副首都推進局が「未来永劫そのまま法的に拘束されるものではない」と答弁。山中氏は「(『特別区』が)独立した基礎自治体としての体裁を整えようと思えばコストもかかり、先行きが分からないのに、こういう文言を入れて説明するのは、市民をたばかるようなものだ」と批判しました。
「特別区」住民の声はないがしろ
「特別区」の庁舎問題でも、中之島庁舎(現市庁舎)に「淀川区」と「天王寺区」の職員を大量に「同居」させる「合同庁舎」案にも言及。「特別区」設置後は、中之島庁舎は「北区」の財産で、それをどう活用するかは「北区」の区長・区議会・区民の固有の権利であることから、「あらかじめ『淀川区』や『天王寺区』の職員を同居させるというのは、『北区』の権利侵害になる」と、大阪市を廃止・分割することの道理のなさを指摘しました。
「特別区」議会の議員定数は18~23人で、近隣の中核市や東京特別区と比べると人口比で3分の1以下だとし、「多様な声を反映させる上で『3分の1でよし』とするのは、『特別区』民の声をないがしろにするものだ」と述べました。
一方で議員報酬は1345万円で、近隣中核市の平均(1132万円)より200万円余多いと指摘。政務活動費(月額)は51万3千円と、東大阪市15万円、枚方市7万円と比べて非常に開きがあるとし、「定数は極端に少なく、報酬などは突出して高い」と問題点を挙げました。
これに維新府議は、「協定書の議論ですでに決まっている。蒸し返しだ」と攻撃。松井一郎大阪市長(大阪維新の会代表)も、「議員の数は変えようと思えば変えられる」と問題をすり替えて発言するなど、問答無用で住民投票に突き進む姿勢をあらわにしました。
制度案のひどさを知らせ 大阪市守る対話を広げて
共産党大阪中央地区・後援会が集会
日本共産党大阪中央地区と中央区後援会が2日、大阪市中央区内で開いた「OSAKAの未来・子どもの未来・あなたの未来~みんなで話そう区民のつどい」で、同党の山中智子大阪市議団長が、松井維新市政の現状や大阪市廃止・分割の問題点について報告しました。
この中で山中氏は、「特別区」に新たな庁舎を造らず、中之島庁舎(現在の大阪市庁舎)を共同利用する「合同庁舎」案に言及。「中央区」の場合は本庁機能の多くを現在の各区役所に分散させ、そこにも入り切れない大多数の職員はATC(アジア太平洋トレードセンター、住之江区)に入れる計画だと指摘。「『特別区』や区民がどうなっても構わないというのがいまの制度案だ」と批判しました。
「こういうひどい姿が市民の皆さんに伝われば、住民投票で負けるはずがありません」と山中氏。「その力は地域の中にあります。大阪市がなくなればどうなるかという対話を党派を超えて広げましょう。大阪市を守り抜き、政令市の力を市民のために使う新しい大阪を築いていきましょう」と呼び掛けました。
(大阪民主新報、2020年2月9日号より)