時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第93話 2013年参院選――15年ぶりの議席

 2013年参院選。日本共産党は大阪選挙区でたつみコータロー(辰巳孝太郎)を擁立。46万8904票(得票率12・7%)を獲得。15年ぶりに党の議席を獲得します。選挙区は東京、京都でも当選しました。比例代表選挙は大阪で43万6878票(11・9%)。全国で5議席を獲得します。日本共産党は改選3から8議席への躍進をとげました。

「自共対決」    

 12年末の総選挙では、民主党政権の失政への怒りから民主党は惨敗。議席は4分の1に激減します。発足した第2次安倍自公政権は、「改憲」に執念を燃やすとともに、「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざして「アベノミクス」を始動。一握りの大企業には大もうけの一方、大多数の国民に「上がらない賃金」「格差と貧困」をもたらします。
 参院選直前の東京都議選で、日本共産党は議席を8から17に倍増します。各紙は「政権批判票、共産へ」と「自共対決」の様相を報じました。

橋下「慰安婦」暴言 

 大阪では、13年1月、橋下徹大阪市長が安倍首相と会談し、「カジノ誘致」「巨大開発」で一蓮托生の道に踏み込みます。また原発問題では当初反対していた「大飯原発再稼働」問題で、関経連会長(関電会長)と密談(12年5月)後、賛成に転じます。
 そして、13年5月13日、「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていく時に、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」――橋下「慰安婦」暴言が飛び出したことに、発言の撤回と謝罪、公職辞任を求める憤激と行動が沸き起こります。市役所に寄せられた抗議は1カ月間で9千件以上、「公職からの辞職」を要求した堺市議会をはじめ全国32以上の地方議会、海外でも米・サンフランシスコ市議会で「抗議決議」が可決。日弁連や大阪弁護士会、アムネスティ、女性ノーベル賞受賞者、国連の潘基文事務総長など抗議・非難は国内外に広がりました。

「ブラック企業規制法案」      

初当選し15年ぶりに参院大阪選挙区での議席を奪還して支援者らと喜び合うたつみコータローさん=2013年7月21日、大阪市中央区内

 このなかで迎えた参院選。大阪では「自民と対決、維新に痛打、抜本的対案示す日本共産党」の姿と政策をおしだします。橋下「慰安婦」暴言に対して、たつみは記者会見で「発言の撤回・謝罪。さもなくば公職辞任を」と求め、「すべての政党・政治家が見識を明らかにすべき」と公開討論を呼びかけます。
 ジャンボビラを連打し、「アベノミクスよりも賃上げ、減らない年金、消費税増税ストップ」「原発ゼロ」などの主張を広げました。この訴えが「安倍自公政権」批判、「維新」批判の受け皿となり、メディア「出口調査」では無党派の2割前後の支持を得て勝利の大きな力になりました。
 党は獲得した議案提案権を活用し、10月には国会に「ブラック企業規制法案」を提出。法案はその後15年9月に再提出、参院で継続審議となりますが、「ブラック企業の社名公表」や「青少年雇用促進法」成立につながります。たつみは「党の躍進で政治を動かしていると実感した」と振り返ります。
 たつみ勝利と日本共産党の躍進は、その後「市民と野党の共闘」を広げる転機になりました。また勝利の夜、堺市の竹山修身市長が選挙事務所にお祝いに駆けつけます。参院選直後の堺市長選挙で、維新による「堺のっとり」を許さず自治都市・堺を守るたたかいの共同が開始されます。(次回は「堺市長選挙勝利」です)

(大阪民主新報、2022年5月29日号より)

 

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