「協定書」否決――下された府民・大阪市民の良識のうえに、「大阪都」ストップの大運動をいまこそ
10月30日、日本共産党大阪府常任委員会は次の声明を発表しました。
2014年10月30日
府常任委員会
明瞭につきつけられた良識の審判
(1)
10月27日、大阪府議会、大阪市会で「維新の会」がだした「大阪都」構想の「協定書」案が否決されました。日本共産党大阪府委員会は山口勝利府委員長コメントを発表し、これは「何重にも無法を重ねた暴挙を、府民・市民の良識の力ではねかえした勝利」であり、きわめて重い意味をもつことをのべました。
同時に、議会での否決にもかかわらず、橋下市長らが「議会への再提出」「住民投票のための住民投票」から、「専決」(議会の意思にかかわらず市長、知事だけで決すること)への構えを捨てていないことをきびしく批判し、これにストップをかけるための共同のたたかいをよびかけました。
「大阪都」構想をめぐるたたかいの新しい局面にたって、日本共産党大阪府委員会は、「専決」などを断じて許さず、くらし壊し、大阪市解体のこの構想をきっぱり断念させるために、すべての党員のみなさん、民主団体のみなさんが立ち上がることをよびかけます。
くらしをこわす「大阪都」構想
(2)
この間の議会内外の論戦でうきぼりになったのは、「大阪都」構想とは、何よりも府民、市民のくらしを壊すものだということです。
――「維新の会」の「協定書」では、「敬老パス」有料化や住吉市民病院廃止をはじめ、いま橋下市長がすすめている大阪市民向けの施策・サービス切り捨てがそのまますすめられるとともに、市会でストップをかけている「地下鉄民営化」や市民向け施設の廃止計画もすべて盛り込まれたものになっています。
――新たにつくる「特別区」は、新庁舎の建設と維持費だけでも30年間で855億円もかかります。そのうえ権限・財源を「都」に吸い上げられ、福祉・医療をささえる財源も体制も切り縮められます。さらに「国民健康保険」「介護保険」などは「特別区」では担えず、100もの事業を「一部事務組合」で扱うなど、くらしも、住民の声も、ますます行政から遠ざけられます。
――「都」は、「なにわ筋線」「淀川左岸線」「リニア」などの巨大開発にのめりこみ、市町村の福祉・医療をささえる役割は二の次にされます。
「成長戦略」に「カジノ」がうたわれていることに強い批判がわきおこっています。
――市営地下鉄をはじめ市立施設の「何でも民営化」が盛り込まれています。「維新の会」の「マニフェスト」には、さらに保険証のきかない「混合診療」の導入や「労働の規制緩和」をはかる「特区」構想がうたわれ、くらしと福祉、教育への公的責任はすべて投げ出します。
「大阪都」構想は、市民・府民には「百害あって一利なし」です。
大阪のゆきづまりを打開する道は、大阪をこわす「大阪都」ではなく、政治の中身を抜本的に転換する民主的な府政・市政をきずく方向にこそあります。「巨大開発優先ではなく、福祉・医療・くらしを第一にする府・市政を」「ムダな公共事業を中止し、防災・福祉施設建設をはじめくらし密着の公共事業を」「何でも民営化はやめ、公的責任をつらぬく自治体をよみがえらせる」――。
そして、かつての「オール与党」時代の府・市政に戻るのではなく、自治体らしい自治体をきずく新しい方向は、「維新政治ノー」のたたかいのなかで、豊かにその芽が生み出されています。
くらしの切実な要求、対案をかかげながら、「大阪都」構想にいまこそストップをかけようではありませんか。
議会と民主主義じゅうりんの暴挙は許されない
(3)
「大阪都」構想の手法のでたらめも、うきぼりです。自らの野望をとおすために、法とルールを犯して、「法定協議会」から野党委員を排除し、議会の多数が求めた議会開催にも応じず、「維新の会」だけでむりやり「協定書」を議決――この間の経緯には、世論調査でも7割近くが批判の声をあげています。両議会での否決は、彼らの暴挙にたいする痛烈な審判です。
ところが橋下市長は、これに服そうともせず、「議会は民意を代表していない」とうそぶき、「専決」によって「協定書」を「住民投票」にかける構えをみせています。「専決」への批判が大きいことから、「住民投票をやるかどうかの住民投票」などをうちだしていますが、これも「専決」への条件づくりにほかなりません。
いかなる理由をつけようが、議会で否決したものを市長、知事一存で決するなど、許されるでしょうか。
何よりも、それは明白な法違反です。「大都市における特別区設置法」には、「協定書」は議会に付議して、その承認を求めなければならない」とされ、承認がなければ、「住民投票」にかけることはできません。また「地方自治法」には、「専決」ができるのは「議会が開けないとき」「緊急を要するとき」「議会が議決しないとき」など、きびしく限られた条件がつけられており、今回はそのどれにもあてはまりません。
橋下氏は、「住民投票こそ究極の民主主義」などといいますが、これは、「独裁手法」を合理化するための二重三重のペテンです。
――「大阪都」は「880万府民の統治機構の変革」というのに、衛星都市600万人の「民意」は初めから切り捨てられたままです。これには府内各市長からもきびしい批判が寄せられています。
しかも、いったん「大阪都」ができあがれば、隣接する豊中市や東大阪市などが「特別区」に加わる際には、「住民投票」は義務づけられていません。
――橋下市長は、かつて「住民投票は大阪都の是非を問うものではなく、区割りを問うもの」「×なら、区割りを変えて出しまくります」とのべていました。「住民投票で大阪都の是非を問う」ことそのものがウソではありませんか。
地方自治における首長と議会の二元代表制も、「住民投票」の規定も、何より首長の暴走をチェックし、許さないために設けられた民主主義の根幹にかかわる規定です。それを橋下市長と「維新の会」による暴走の道具立てにすることなど許してはなりません。
くらしと民主主義を守り、希望ある大阪をひらく一大闘争を
(4)
日本共産党大阪府委員会は、すべての党員のみなさん、民主団体のみなさんに心からよびかけます。
橋下市長らの「専決」という暴挙を許さず、「大阪都」構想をストップさせることは、くらしと大阪市の解体を許さず、庶民の大阪を守り抜くための一大課題となっています。同時にそれは、この間きずいてきた市民共同を大きく発展させ、府政・大阪市政を自治体らしい自治体としてよみがえらせ、希望ある未来をきりひらく道ともなります。
「専決」を許さない世論づくりは、この秋、年内が大きな勝負所となります。
このたたかいのために、この声明を手に、構成員にたたかいの意義を大きく広げるととともに、文字通り各界の団体・個人のみなさんへの申し入れ・懇談をくりひろげ、共同の陣を大きく発展させましょう。
JCP大阪ビラ、「大阪都Q&A」パンフレット(明るい民主大阪府政をつくる会・大阪市をよくする会発行)などを広げ、「大阪都」構想の中身と手法のでたらめさを徹底して府民・市民のなかに語り、広げましょう。
大阪府委員会は、そのための新しいパンフレット(大阪から政治を変える日本共産党 ええやん/安倍政権・維新の暴走 あかん!)を発行します。新しい政治ポスターも作成します。
「大阪都はくらしと住民自治に何をもたらすのか」「議会と民主主義否定の維新の手法は許されるのか」「どうすればゆきづまる大阪を打開する展望が開けるのか」など、つどいや「まちかど懇談会」、あらゆる場で対話をくりひろげ、年内にも100万人規模へとすすめようではありませんか。
日本共産党大阪府委員会はその先頭にたって奮闘しぬくものです。
以上