政策・提言・声明

2020年06月19日

コロナ禍のもとでの「大阪市廃止」は許されない。
大阪の力を一つに、「都構想ストップ」の審判を

日本共産党大阪府委員会の「大阪市廃止=大阪都ストップ」闘争本部は6月19日、次のアピールを発表しました。

2020年6月19日
日本共産党大阪府委員会 「大阪市廃止=大阪都ストップ」闘争本部

(1)

 6月19日に開かれた「大阪府市大都市制度(特別区設置)協議会」(法定協議会)で、「大阪市廃止」のための「特別区設置・協定書」を維新・公明が多数の力で可決しました。維新は、府議会・大阪市議会にはかったうえで、11月1日に大阪市民の「住民投票」を強行する構えです。

 「大阪市廃止=都構想」の「住民投票」は2015年、市民がきっぱり「ノー」をつきつけたものです。それをこのコロナ禍のもとで強行するなど、二重三重に大義がないものです。

 「住民投票」で「賛成多数」となれば、大阪市という政令市、市民のくらしと自治を守るよりどころはなくなり、二度と元には戻りません。私たちは今度も市民の力できっぱりノーの審判を示し、コロナ問題の教訓も生かし、市民のいのちと暮らしを守るための新しい政治を起こす道へと、ともにふみだすことをよびかけます。

(2)

 私たちが「大阪市廃止」の「協定書」に反対しているのは、何よりもその中身が前回の住民投票で否決した「2015年案のバージョンアップ」どころか、歪みに歪んだものだからです。

 第1に、「特別区」から権限・財源は「府」に奪われ、いまの「18歳までの医療費助成」をはじめ、住民サービスは「向上」どころか、「維持」さえ保障はありません。

 第2に、「特別区」の庁舎や職員は巨大な「中之島合同庁舎」――よその自治体にまたがるという、日本では「離島」にしかなく、自治体の体をなさない姿です。

 第3に、基礎自治体のもっとも大きな仕事である「介護保険」の事務など多くが「特別区」ではなく、巨大な「一部事務組合」が担う設計です。「府」「特別区」「一部事務組合」という複雑な「三重行政」で、住民の声が届かないしくみです。

 第4に、政府の地方制度調査会でも「茨の道」といわれたとおり、「特別区」は財源なき「財政調整」に制約され、結局は「府」のいうままになります。

 第5に、「住民サービスは基礎自治体」「成長戦略は府で」の名のもとで、「大阪府」が「住民福祉向上」や「基礎自治体の補完」機能を切り捨て、ひたすらカジノや「湾岸開発」にひた走るなど変質をもたらします。

(「住民投票」よりコロナ対策)

 同時に、市のパブリックコメントに寄せられた声にみられるとおり、いま市民の批判が集中しているのは、政治的立場をこえてコロナ対策に総力をあげなければならないときに、「大阪市廃止」という政争と市民を分断する課題をなぜ持ち込むのかという点です。しかも、いまの「協定書」の根拠とされる「財政シミュレーション」は「コロナ以前」のものであり、市民や中小業者、医療機関などがかかえる苦難やこれからの「第2波」にそなえることが想定にありません。

新型コロナ問題は、これまで削減し続けてきた保健所や病院、公衆衛生研究所などの機能と体制を一刻も早く立て直すこと、「インバウンド頼み」ではなく、庶民と中小業者のふところを温めることを軸にした大阪経済政策の転換、「少人数学級」を子どもたちにプレゼントし、どの子も生き生きと成長する教育の実現、これらをささえる「公」の役割と機能の抜本的強化など、これまでの大阪の政治・経済・社会の在り方を根本から見直すことを求めています。

「大阪市廃止=都構想」案は破棄し、これからの大阪市のあり方を一から議論すべき時ではないでしょうか。

(3)

 「大阪市廃止」にストップをかけるために、日本共産党大阪府委員会は「大阪市廃止=大阪都ストップ闘争本部」を設置し、ただちに次の活動を開始します。

 ――大阪のすべての地区委員会と支部、タテ線グループがこの訴えを議論し、毎月の計画をもって活動に踏み出します。

 ――毎月発行する「JCP大阪」ビラを手に、「府内いっせい宣伝」やそれぞれの地域・職場での宣伝をすすめます。「大阪市廃止やカジノはストップ」ポスターも作成します。党府委員会のホームページやツイッター、YouTubeでの発信も強化します。カギを握る広大な無党派層や女性に私たちの主張を届けるため、大いに創意工夫を発揮してとりくみます。

――大・中・小の「集い」を無数に開催し、「日本共産党を丸ごと知ってもらう」こととともに、「大阪市廃止でなく、政令市としての大きな財源・権限を医療・福祉・教育・中小企業支援に」「都構想・カジノよりコロナ対策」などのテーマで双方向に語り合っていきます。

 共同している民主団体はもちろん、商工会や医師会、連合町会・振興会、連合系の労働組合や福祉・教育・文化団体、宗教団体、これまで付き合いのなかったところにも、「大阪市廃止をストップし、コロナ後の新しい大阪の政治をともにつくっていきましょう」とよびかけ、胸襟を開いて懇談していきます。

――日本共産党がとりくんでいる「党勢拡大の特別月間」(9月末まで)を「住民投票」勝利の上からも位置付けて、目標達成に総力をあげます。

――私たちも加わる「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」が作成する宣伝・組織計画の先頭にたちます。

(4)

 6月13日、平松邦夫第18代大阪市長ら6氏が「市民と野党の共闘でコロナ禍を乗り越え、希望ある未来を切り開こう/アベ政治でも維新政治でもない、新しい政治を」という「市民アピール」を発表しました。これにもとづき同日、大阪の立憲民主党・国民民主党・日本共産党・社民党・れいわ新選組の府連代表などがそろっての第一回市民と野党の「政策フォーラム」が開かれました。この日のテーマである「コロナ対策と都構想、カジノ」問題ではこぞって各野党から「都構想はやめ、市民と野党の共同の力で新しい大阪、日本の政治の流れを」と訴えました。

 大阪で立憲野党がせいぞろいし、オープンな場で政策協議をすすめるのは、これが歴史的にも初めての機会です。

 「安倍政権」と「維新政治」という大阪の「二重の逆流」を打ち破るうえで決定的カギは「市民と野党の共闘」にあります。日本共産党は、開始されたこの流れを大きく発展させ、野党連合政権への道を大阪から切り開くとともに、大阪で「維新政治」を打ち破るために総力をあげます。

 その大きな一歩として、大阪の希望ある前途をてらす、「住民投票」勝利、「大阪市廃止=都構想」ストップのたたかいをごいっしょにすすめましょう。

 

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