「慰安婦」暴言問題
いよいよ追い詰められる橋下市長
暴言の撤回・謝罪と即時辞任を迫る府民的運動と共同をさらに大きく
2013年6月4日
日本共産党大阪府委員会
参議院大阪選挙区予定候補・辰巳孝太郎
(1)
「慰安婦は必要だった」という橋下徹大阪市長・「日本維新の会」共同代表の暴言について、わが党は5月20日、「橋下市長は『慰安婦は必要』発言のすみやかな撤回、謝罪を。さもなくばすべての公職の辞任を」との見解を発表するとともに、参院選を前に、この問題での大阪の各党間の公開討論をよびかけました。
橋下市長はその後、5月27日に外国特派員協会で会見をおこないました。しかし、3時間に及ぶやりとりでも、「慰安婦は必要だった」との発言をいっさい撤回・謝罪しませんでした。在日米軍に「風俗を活用」とのべたことは撤回し、米政府に謝罪したものの、沖縄県民と女性を愚弄したことには謝罪がありませんでした。
逆に、橋下市長は「メディアの誤報」に責任をなすりつけました。「河野談話は否定しないが、慰安婦を強制した証拠はない」「日本の責任は否定しないが、他国もやっていた」などと見苦しい弁明、居直りに終始しました。「橋下氏は米軍には謝罪したが「第2次大戦中の日本の性奴隷の利用にかんする自分の発言は擁護した」(ワシントン・ポスト)「その人間性があらためて問われたのではないか」(琉球新報)など、内外のメディアから、さらに痛烈な批判が寄せられています。
潘基文・国連事務総長は6月2日、「国際社会、特に戦争で被害を被った国々が、彼の見解に納得しているとは思えない」とのべました。
詭弁と居直りにみちた会見は、批判の火に油を注ぐ結果となりました。
(2)
大阪市会においては、わが党と自民党、民主党系会派共同の「問責決議案」が提出され、ひとたび公明党も賛成する態度をみせ、可決・成立する流れが生まれました。
立場の違いをこえ3党が「問責決議案」で共同したことは重要です。決議案が指摘したとおり、橋下市長の暴言は、深刻な国際問題に発展し、市長の訪米中止をはじめ、市政運営にも大きな混乱と障害を生み出しています。市長が「猛省し、自ら政治責任を自覚した言動をされることを強く求める」ことは、文字通り市民総意です。
五月市会では、「大阪都」構想への象徴的事業としてすすめてきた「水道事業統合案」が否決されました。「地下鉄・市バス民営化」案も、三月市会につづいて成立させることができませんでした。「市長とは価値観が違う。その人が出してきたものを粛々と決めていいのか」との批判もつきつけられました。橋下市政そのものが大きく行き詰まっています。
また「特別顧問」のなかから、「政策は修正できるが、価値観や倫理観は難しい。いくらいい政策を出しても、疑いの目で見られてしまう」との声が出され、「維新の会」からも「維新は今、四面楚歌」との嘆きが聞こえます。
公明党が、橋下市長らの「可決したら出直し市長選」などの居直りに屈し、問責決議案への態度を急変させ、決議できなかったとはいえ、橋下・維新はいよいよ追い詰められました。
橋下市長は「中身の同じ決議案への賛成が過半数に達しており、重く受け止めなければならない」とのべる一方、「最後は有権者の審判しかない」として、市長に居座る態度をみせています。また参院選できびしい審判を受けた場合でも、共同代表の辞任はあっても、市長としては任期いっぱい務めるとものべています。
世論調査で7割、8割が市長の暴言を「不適切」と批判しており、その後の居直りへの批判をふくめ、「有権者の審判」は鮮明です。この問題で「選挙」をもて遊ぶのでなく、ただちに発言を撤回・謝罪し、公職の座を去るべきです。
(3)
橋下市長が居直りを続けるなかで、安倍晋三首相の態度がさらにきびしく問われています。
国連の拷問禁止委員会は5月31日、橋下市長らの最近の発言を念頭に、旧日本軍の「慰安婦」問題で「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」とする勧告をまとめました。このなかで、日本政府にたいして、「当局者や公的人物による事実の否定や、それによって被害者を再び傷つける行為に反論すること」をきびしく求めています。 今月17日からのロンドン・サミットでは、「紛争下の性的暴力防止」がテーマの一つとなっています。安倍政権の「慰安婦」問題への対応が国際社会注視の問題となっています。
安倍首相は依然として橋下市長の暴言を否定せず、閣僚のなかから「戦時中制度が合法だったのは事実」とする発言がでています。「河野談話を継承する」というのなら、みずからの言明で橋下市長の暴言を批判するとともに、旧日本軍「慰安婦」問題での解決に向け、日韓請求権協定3条1項の規定に従い、韓国政府との協議に早急かつ誠実に応じる態度を示すべきです。
(4)
わが党がよびかけた大阪の各党への申し入れにたいして、「文書は読んだ。大賛成だ」「趣旨は賛成だが、全政党が応じないとむつかしい」などさまざまな反応が寄せられています。
同時に、この間、自民、民主党がわが党と共同で大阪市会に「問責決議案」を提出し、他の党も橋下市長に「猛省」を促す申し入れをおこなうなど、「日本維新の会」以外のすべての政党が、橋下市長の暴言にたいする批判的態度をみせています。「問責決議案」をめぐる問題で、世論の批判をあび、ツイッターでわが党を攻撃する政治家もいますが、言い分があるのなら、有権者の目の前で、堂々と討論してはどうでしょう。
とりわけ参院選での審判を受けようという政治家は、みずからの見識を明らかにすべきです。
わが党は、重ねて大阪の各党のみなさんに、橋下「慰安婦」暴言問題についての公開討論をよびかけるものです。
(5)
女性団体やアムネスティなどの諸団体、日弁連など、橋下市長の暴言の撤回・謝罪、責任を問う行動は、さらに広がりをみせています。
わが党も加わる「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」はこの6月13日、「橋下市長に首長の資格ナシの大運動を! 『慰安婦』暴言問題 緊急決起集会」を開くことを決め、その成功を広く各団体・個人によびかけています。
この問題での宣伝や市民パレード、集会やつどい、抗議ハガキなど、大阪の良識で橋下市長の暴言の撤回・謝罪、公職辞任に追い込むためのありとあらゆる行動を、ともにすすめましょう。
わが党は、こうした運動と共同の先頭にたつとともに、きたるべき参議院選挙で、憲法改悪問題などともあわせ、この歴史認識問題を重大な争点として位置づけ、有権者に日本共産党の主張と見解を広く知らせながら、橋下・「日本維新の会」やこれをかばう安倍自公政権への痛打をあびせるために総力をあげるものです。