政策・提言・声明

2024年04月12日

開催まで1年ー大阪・関西万博の中止を求める声明

開催まで1年ー大阪・関西万博の中止を求める声明

2024年4月12日 日本共産党大阪府委員会

 大阪・関西万博の開催まで1年となりました。日本共産党大阪府委員会は昨年8月と本年1月に万博中止を求める声明を発表しました。本日4月12日までに中止を決定すればBIE等への補償金は約350億円であり、4月13日以降に中止した場合は800億円超となります。膨れ上がる事業費、パビリオンの遅れ、そして命の危険など、私たちの忠告や国民の声を聞かず、万博開催の姿勢をとり続ける岸田政権と維新の会の責任は重大です。

◆いのちを危険にさらす万博は中止しかない

 3月28日、夢洲1区において溶接作業中に発生した火花が可燃性ガスに引火し、爆発する重大事故が発生しました。夢洲1区は万博開催中は入場者の半数以上が利用する駐車場や西ゲートのほか、屋外イベント広場、売店などが設置される区域です。またダイオキシン等の有害物質を含むゴミの焼却灰や下水汚泥も持ち込まれた廃棄物最終処分場であり、猛毒PCBの詰まった土の袋数千を地中に埋めている区域でもあります。
 わが党は夢洲の危険性に警鐘を鳴らし続けてきました。ところが当局は発生するメタンガスは79本ものガス抜き管で大気中に放出しており、安全性に問題はないと繰り返してきたのです。
 メタンガスは万博開催中も排出され続けます。今後コンクリート等で地表を覆えば、メタンガスが地中に滞留することでさらに危険になるおそれがあります。また夢洲1区以外でも、地下鉄延伸工事の際にメタンガス対策工事を余儀なくされました。夢洲2区、3区は浚渫土砂や建設残土などで埋め立てられ、液状化対策も必要であり、地盤沈下も進んでいます。
 そもそもそのようなところに大規模集客施設を建設すること自体が無謀であり、これ以上工事を進め万博を強行することはもはや許されません。「いのちを危険」にさらしておいて何が「いのち輝く」でしょうか。万博は今すぐ中止を決断すべきです。

◆児童・生徒を連れていけない

 今、大阪府は府下の学校に対して、無料招待に関する意向調査を行っています。しかし教育現場からは「行く日もパビリオンも選べない」「駐車場から入口まで1キロあり徒歩で30分もかかる。低学年は無理」「ピーク期間は児童・生徒だけで1.4万人が来場するのに、団体休憩所は2000人の収容。どこで昼食をとるのか」などの声が噴出しています。また医療的ケアが必要な児童・生徒への対応も示されておらず、これでは計画がたてられません。
 夢洲へのルートは夢舞大橋と夢咲トンネルの2つだけですが、避難計画は未だ策定されていません。ガス爆発が起こりうる、安心・安全とは程遠い夢洲に児童・生徒は連れていけません。

◆際限なく膨らむ事業費

 事業費は当初の2倍近くの2350億円に、運営費は1.4倍の1160億円に膨れ上がりましたが、これで終わる保証はありません。350億円の「日除けリング」や、1か所2億円のトイレなどが批判の的となるのは当然です。著名な建築家からも「万博の資材を被災地に送るべきだ」との声が上がりました。
 2820万人の参加者目標でチケット販売が始まりましたが、来場意向の調査では万博に「行く」「行きたい」の合計は2年前よりも18ポイントも減少して33.8%しかありません。開催経費の赤字によって、これ以上の国民負担を増やさないためにも、万博は中止するしかありません。

◆カジノのための万博

 政府と維新の会が万博に固執する理由はIRカジノです。「国策」として進める万博を口実にインフラ整備などを進めさせ、カジノ業者の負担軽減を狙ったのです。
 しかしその事業者であるMGMグランドインターナショナルの社長(当時)が、違法スポーツ賭博で捜査をうけ刑事責任を認めたことが、わが党の国会質問でも明らかになりました。このような遵法意識の欠如した事業者にカジノ免許を付与することは許されません。

◆万博が危険な規制緩和の実験場に

 さらに問題なのは、大阪・関西万博が企業の儲けのために利用されようとしていることです。
 大阪ヘルスケアパビリオンの総合プロデューサーは、政府の規制改革会議の委員で機能性表示食品制度の創設を主導した人物で、大阪府市医療戦略会議のメンバーとしても維新政治と一体に医療分野での規制緩和の旗振りをしてきました。
 大阪府・市は、2021年11月の国家戦略特区ワーキンググループにおいて、大阪ヘルスケアパビリオンでは来館者のバイタルデータを取得したのち、作成された個人データにもとづき、フードやドリンクなどの機能性表示食品を提供する計画があることを明らかにしました。その際、「肌年齢を改善」「脳を若返らせる」「筋肉の老化を抑える」などと付記できるよう、国にさらなる規制緩和を求めました。現在、機能性表示食品に疾病予防や疾病リスク低減に係る表示は認められていませんが、万博に向けてそれを認めろと国に迫ったのです。また大阪ヘルスケアパビリオンで取得された個人データは、民間事業者等に提供することが検討されています。
 今、機能性表示食品による死者・健康被害が大きな問題になっています。これらの取り組みは、危険な規制緩和をさらにすすめる実験場として万博を利用するものであり、いのちよりも一部企業の利益を優先させる試みです。こんな万博に「いのち輝く」などと掲げる資格はひとかけらもありません。

◆いのち軽視の万博をとめよう

 「万博の理念と相いれない」としてロシアの参加拒否にも言及してきた政府は、国際人道法を無視してガザへのジェノサイドを続けるイスラエルの参加を認めました。もはや「いのち輝く」という理念から最もかけ離れた、いのち軽視のイベントが、大阪・関西万博であると言っても過言ではありません。
 日本共産党は引き続き広範な市民と結び、万博を中止に追い込むため力を尽くす決意です。

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