政策・提言・声明

2012年05月12日

橋下市長による「大阪市政改革プラン(素案)」撤回へ、幅広い市民・府民各層と手をたずさえ、
「大阪は一つ」に、日本共産党の総力を

2012年5月12日
日本共産党大阪府常任委員会

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 橋下市長のもと、大阪市は5月11日、3年間で488億円もの市民向け施策・事業を、削減する「市政改革プラン(素案)」を発表しました。

 これは、「敬老パス」は「半額負担」などに改悪し、「新婚家庭家賃補助」「水道・国保の市独自減免」は廃止・縮小、「コミュニティバス助成」は削減、さらに市音楽団の廃止、大フィル・文楽協会への補助金カットにいたるまで、むきだしの市民総攻撃を加えたものです。また24区すべてにある「区民プール」を橋下市長が唱える「大阪都」に向けて、「9カ所」以外は廃止するなど、「大阪市解体」の道をしゃにむに突き進もうというものです。

 4月に「PT(プロジェクト・チーム)試案」が発表された直後から、市民の怒りがわき起こり、市の各部局からも異論・批判が唱えられました。このなかで、「学童保育補助金全廃」を撤回し、「長居障害者スポーツセンター」や「区民センター」(34カ所)は存続することなど、ごく一部とはいえ手直しがなされました。「敬老パス・半額負担」や「区民プール削減」にたいしては、バス停などでも口々に批判が起こり、利用者による計画の撤回を求める声と運動が開始されています。ある区では「大阪維新の会」市議の後援会幹部をしている社会福祉関係者が、その会合で「橋下市長がこんなひどいとは思わなかった!」と怒りを表明しています。

 これらを反映して、5月1日に開かれた大阪市議会・市政改革特別委員会では、「維新の会」市議が「市民に直結するものばかりで、『維新の会』議員ですら、驚いている」とのべ、わが党をはじめ野党各会派からも批判がつきつけられました。

 こんな「市政改革」を許すなら、市民各層に大きな犠牲が強いられ、「大阪市解体」に道をひらくことになります。

 大阪府常任委員会は、すべての党支部・グループのみなさんが、この「素案」撤回をめざすたたかいをとおして橋下・「維新の会」の「独裁戦略」を打ち破る構えをきずき、「大阪は一つ」「府市一体」に、広範な市民・府民とともに手をたずさえ、たたかいにたちあがることをよびかけます。

 

(2)

 「素案」には、2つの大問題があります。

 第1に、そもそも市民のくらしが苦境にある時に、それをささえる施策・事業をバッサリ削ることが、大阪市政のやることなのか。しかも、「根拠」にあげる「500億円」の収支不足には大きなごまかしがあるという点です。

 施策・事業削減の理由として、橋下市長は他市に比べて、「大阪市民はぜいたく」などといいます。しかし、大阪市財政の現状をもたらしたのは、「市民のぜいたく」ではなく、①消費税増税による大阪経済への打撃、税収減(市税収入は96年から2010年までに▲1516億円)、②WTCや阿倍野再開発など関西財界・大企業いいなりの巨大開発の破綻のツケ、③国の「三位一体改革」による市財政のしめつけが大きな要因です。

 しかも、「年間500億の収支不足」といいますが、それは、府の「PT試案」のときには入れていた「不用地の売却」を見こまないなど収入を過小に見積もり、大阪市では借金残高が減り続けていることや4000億円以上ある公債償還基金など「資産」も示さず、はじめから「収支不足ありき」のために計算したものです。

 第2に、市民の「合意」も、「設計図」もない「大阪市解体計画」=「大阪都」のために無理矢理あわせて施設や施策を斬る必要がどこにあるのか、という問題です。

 「素案」では、「成長は広域行政、安心は基礎自治体」で「大阪にふさわしい自治の仕組み作り」をうたい、だから「区民プール」も「24」から「9」カ所にせよといいます。

 それ自身、「だまされないでください!! 大阪市はバラバラにしません」「24区色とりどりに」などとした橋下市長らのダブル選挙「公約」とは180度反するものです。

 しかも、「大阪都」づくりそのものが、堺市の「協議会」参加拒否など、初めから暗礁にのりあげているのです。

 橋下氏は、知事の時代は「住民サービスは基礎自治体」といって府民向け施策を切り捨て、大阪市長になると今度は「住民サービスは『特別自治区』の仕事」として、市民向け施策を根こそぎ破壊しようとしています。

 そのうえで浮かした財源をどこに使おうというのか。結局は、「成長は広域行政」などといって、「大阪都」で狙う「リニア」「なにわ筋線」などの巨大開発のために吸い上げようというものです。また橋下市長は、黒字の地下鉄なども民営化しようとします。それは市民の財産を財界・大企業のもうけために売り払うものにほかなりません。

 日本共産党は、こんな企てを許さず、市民のくらし守り、前進させるための財源政策や市役所改革提言などの民主的対案をかかげ、「素案」撤回の先頭にたってたたかいます。

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