政策・提言・声明

2010年09月18日

求められているのは、民意の反映のための「一票の格差」是正と1人区・2人区の解消です

日本共産党大阪府議会議員団幹事長 阿部誠行

 大阪府議会の会派「大阪維新の会」が府議会定数を現行112から88に削減する定数条例の改定案を、22日開会の9月府議会に提出しようとしている問題で、日本共産党大阪府議会議員団の阿部誠行幹事長は13日、次のような談話を発表しました。

 

 「大阪維新の会」は、9月9日の府議会議会運営委員会理事会で、府議会議員定数を「府民10万人に1人」とし、現行112名を88名に削減する定数条例の改定を9月議会に提案することを表明しました。

(一)府議会の定数問題改善への取り組み

 これまで府議会では、2001年度に「議員定数等調査特別委員会」を設置し、議員定数、選挙区及び選挙区別定数等について議論をすすめてきました。改善すべき点として、①58選挙区中33の1人区を可能な限り減らすこと②「1票の格差」を2倍以下にすること③飛び地の解消があげられ、1年間かけて議論されましたが合意に至らず、引き続き検討されることになりました。
 今期、新たな課題である選挙区間の人口と定数の逆転現象を是正することを含め、検討をおこないました。飛び地解消とあわせて是正、定数も3名削減されましたが、定数1の33小選挙区の解消と、2倍をこえる「一票の格差」の是正、定数などの抜本的見直しは来期に取り組むこととして合意されています。

 (二)「維新の会」の定数削減案の問題点

 議員定数問題の根本は、府議会に民意をより公正に反映することです。「維新の会」の提案には、議会制民主主義を揺るがす重大な問題点があります。
 第1は、「1票の格差」を現行の2・29倍から3倍に拡大することです。不平等がさらに拡大されます。
 第2は、定数1の小選挙区を現行の33選挙区から48選挙区に大幅に増やすことです。これにより、1人区・2人区が62選挙区中55選挙区(1人区48、2人区7)と、実に88・7%を占めることになります。民意を切り捨て、多様化する府民要求が府議会に反映されにくくなり、議会制民主主義に反するものです。
 第3に、府議選を来春4月、半年後に控えている時期であり、議論の時間と府民への周知の時間が充分とれないことです。これまで最低でも1年前に知らせることとしてきました。
 国・地方の議会で定数削減が財政節減の象徴のように一部で言われていますが、選挙制度は主権者の意思が政治に反映されるかどうかにかかわる民主主義の根幹の問題で、質的にまったく異なります。有権者・府民は選挙のとき、政治に自分たちの声を届けてくれる政党や政治家にその一票を託します。年々多様化する府民の声を、可能な限り議会に反映し、政治に生かしていくことこそ、議会制民主主義の重要課題です。
 現在、大阪府議会には、日本共産党をはじめ7会派がそれぞれ府民の代弁者として活動しています。民主主義の原則は、最大公約数を大切にするとともに、少数意見を尊重することです。選挙制度、議員定数などは、これらの民意をどれだけ正確に反映できるかにかかわる基本的問題です。

(三)日本共産党府議団の提案

 わが党は、府議会が「ますます多様化する住民の要求を、可能な限り正確に、議会と府政に反映する」ことと、「知事や府政のチェック機能のいっそうの強化」という、議会制民主主義の原則的立場から提案をおこなってきました。
 その内容は、第1に、「1票の格差」を2倍以下にする(可能な限り1に近づける)ことです。
 第2に、府民の多様な声を議会に反映できるよう、死票を極力減らすため、1人区・2人区を可能な限り減らすことです。そのために、任意合区を積極的におこなうことも必要です。
 第3に、総定数は、前者の2つの改善とあわせて総合的に検討することです。財政節減と定数削減はまったく性質の異なる問題であり、区別して議論するべきです。
 第4に、定数問題は議会制民主主義の根幹の問題であり、主権者である府民・有権者の基本的権利(政治参加)にかかわる重要問題ですから、府民参加のもと充分時間をかけて議論することです。定数問題について検討する第三者機関を設置することなどが必要です。
 第5に、財政節減のための議員報酬のさらなる削減についても府民目線で検討すべきです。

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