「大阪維新の会」の結成について
2010年4月20日
日本共産党大阪府委員会書記長 柳 利昭
1) 4月19日に橋下大阪府知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が正式に発足し、「大阪再生マスタープラン」なるものを発表した。「既存政党との対決」というものの、ほとんどの参加者は府議会の自民党会派から出た議員で、党籍は自民党に置いたままである。先の総選挙で自公政治に国民は退場の審判を下したが、多くの国民が民主党政権にも失望するというなかで、自民党から離脱した「新党」が生まれ、地方自治体の首長などによる「新党」も取りざたされている。これら「新党」と「維新の会」に共通していることは、小泉「構造改革」の推進や消費税の増税、福祉や教育への国の責任を放棄する「地方分権」の推進など、古い自民党政治を転換する立場が見られないことである。
2) 発表された「大阪再生マスタープラン」では、「大阪の危機は深刻」と、府民所得の減少や府民生活の困難をあげ、それを制度のせいにして「大阪都構想」を打ち上げている。しかし、大阪経済、とりわけその中心を担う中小企業の経営と、府民生活を悪化させてきたのは、大企業の国際競争力強化を名目に、格差と貧困を広げ、内需を壊してきた国の悪政に加えて、大阪府や大阪市が福祉や中小企業振興という自治体本来の役割を果たさず、関空二期工事やりんくうタウン、ベイエリア開発など関西財界が望む大型開発に巨額の税金をつぎ込んで失敗を重ねてきた「政治の中身」にあるのである。「大阪維新の会」に参加する人たちが、この政治に賛成してきたことも事実である。
3) 「大阪維新の会」は、知事の主張に沿い、府市再編、大阪(伊丹)空港廃港、議員定数の削減の3項目を主要な政策課題に掲げているが、最大の目的は、関西財界の意向にそって、大企業の利益のための高速道路建設などを「府市一体」「一人の指揮官」で「独裁的」に進めるものではないかという疑問を持たざるをえない。個々の政策の全貌はいまだ明らかではないが、「地下鉄を私鉄に売却して高速道路建設の財源にする」(市民の貴重な公共交通を売り飛ばすばかりか敬老パスの廃止にもつながるもの)、二重行政だとして「図書館、体育館などを一元化する」など、府民・市民サービスの切り捨てがすでに打ち出されていることは、この「新党」の狙いを示すものであり、大きな警戒が必要である。
4) 大阪府政、大阪市政が住民主人公に前進する方向は、橋下府政や大阪市政がいままですすめてきたような「大企業栄えれば府民も中小企業も栄える」という、破綻済みのやり方ではなく、府民の暮らしと中小企業の経営を直接支援するあたたかい地方政治を取り戻すことである。日本共産党は、広範な府民のみなさんと、こうした真の地方政治の改革を進めるとともに、大企業の過剰な利益の一部を国民の暮らし、雇用、中小企業に還元して日本経済を発展させるために全力をあげるものである。