政策・提言・声明

2006年03月16日

4月からの保険料大幅値上げを食い止め、だれもが安心して利用できる介護保険に

日本共産党大阪府委員会の4つの緊急提言

2006年3月16日
日本共産党大阪府委員会

 いま府下市町村では、昨年6月に改定された新しい介護保険法のもとでの「第3期介護保険事業計画」が準備され、それに基づく06年度から08年度まで3年間の介護保険料が各議会の第1回定例会に提案されています。

 また、新しく創設される地域包括支援センターの立ち上げや新しく実施されることになった事業の準備に市町村担当者は忙殺され、府民のなかでは「いままでのサービスが後退することはないのか」と、不安が広がっています。

 この「4つの緊急提言」は、改定介護保険法の実施を前にして、保険料大幅値上げを食い止めるとともに、だれもが安心して利用できる介護保険に改善するための当面、緊急の提案です。府民のみなさんのご検討と、対話・共同を呼びかけるものです。

1.大幅値上げ回避へ、国負担5%引き上げと、大阪府として保険料減免制度新設を

 いま、府民にとって重大な問題は、保険料が平均35%もの大幅な値上げになろうとしていることです。

 また、国の税制改悪によって、年金控除額の引き下げと高齢者の非課税限度額の廃止が行われたために、年金額が一切変わらなくても、「非課税」から「課税」になる人が大幅に増えます。これらの人は、2倍、3倍の大幅な負担増となってしまいます。これは、介護保険料が高齢者の負担能力をはるかに超えていることを示しています。

 そもそも、今日の保険料高騰の原因は、介護保険発足当時に国庫負担率を従来の給付費の50%から25%に引き下げたことにあります。しかも、このうち5%は、後期高齢者の比率が高い自治体などに重点的に配分される調整交付金です。

 全国市長会、全国町村会も、この調整交付金は25%の外枠にして、すべての自治体に最低でも25%が交付されるよう、繰り返し要望しています。国の負担を5%引き上げるだけでも、4月からの大幅な保険料値上げを食い止めることができます。ただちに、国は国庫負担割合の5%引き上げを行うべきです。

 大阪府下の市町村では、大阪市をはじめ、府下34市町村で保険料の独自の減免制度を実施しています。新しい法律のもとで、制度のいっそうの改善が必要ですが、これらの市町村の努力を支援する大阪府の制度は何一つありません。

 黒田革新府政の時代は、4分の3補助(大阪市は2分の1)の手厚い助成制度をつくり、老人医療無料制度を一挙に府下市町村に広げました。このように、府下市町村を応援して府民全体の暮らしと福祉の向上を図ることこそ、大阪府の独自の役目ではありませんか。

 この際、大阪府として、税制改悪に対する特別の手だてを含めて、保険料の減免制度を実施することを強く求めるものです。

2.高齢者の生活直撃する介護保険施設の食費・居住費負担軽減策を大阪府と市町村で

 昨年10月から前倒し実施された特養老人ホームなど介護保険施設の食費・居住費の全額自己負担の導入は、府下高齢者の生活を直撃しています。改悪の結果、特養入所者の負担額は、住民税非課税の人(本人非課税)でもユニット個室で12・8万円、相部屋で8・1万円になりました。これはあくまで厚労省の基準額で、実際は施設との自由契約ですからこれ以上の負担を強いられている人が数多くいます。住民税非課税とは、月収わずか15万円(4月から税制改悪で12万9千円)です。しかも「在宅と施設の格差是正だ」と導入されたこのやり方は、ショートステイやデイサービス・デイケアの在宅サービスにも容赦なく適用されているのです。

 その結果、「食費が払えないので、家から食事を運んでいる」「ショートステイの利用が減り、空きがでている」「特養のなかでより安い相部屋へ個室から移ってきている」などの悲惨な実態となっているのです。

 こうした事態に際して、全国的には、通所介護の食事負担分420円を補助、合計所得700万円未満まで施設入所者に月1万500円~1万9500円補助(東京都千代田区)、住民税非課税世帯で基準額(1世帯で年収180万円、預貯金350万円)以下の人に通所介護の食費、短期入所(ショートステイ)の滞在費・食費の25%を助成(東京・渋谷区)、特養利用者は年収42万円~150万円を対象としてホテルコストと利用料を4分の1に、在宅利用者は生活保護基準~年収150万円を対象として利用料を2分の1へ(北海道・帯広市)など独自の負担軽減制度を実施する自治体が各地に生まれています。大阪でも吹田市が通所介護全利用者の食事代に100円補助を行い、大変喜ばれています。 こうした自治体を府下市町村に広げるためには、大阪府の果たす役割は重要です。特に、デイケア、デイサービスの食費については、低所得者むけの対策すらなく、特別の手だてが必要です。

 大阪府として、利用料金の減免制度を新設し、市町村と協力して高齢者と家族の負担を軽減するよう求めるものです。

3.「介護難民」をうまないために、大阪府として、府下市町村の実態をつかみ、円滑な事業実施に親身な相談・援助を

 今回の法改定によって、「新予防給付」が新設され、新しく要支援1、2と認定された人は、原則としてケアプランを、地域包括支援センターの保健師等に作成してもらうことになりました。ところが、いま、多くの府下市町村では、地域包括支援センターの数も少なく、その体制が整っていません。また、市町村が居宅介護支援事業者に委託しようにも、報酬が低く、しかも「1ケアマネジャーあたり8件以内」という制限があるため、このままではケアプランも作ってもらえず、サービスも受けられない「介護難民」が大量に発生します。

 国は早急に「1ケアマネジャーあたり8件以内」という制限を撤廃し、ケアプラン作成報酬を引き上げるべきです。また、大阪府は、緊急に府下市町村の実態をつかみ、そうした「介護難民」が絶対に発生しないように市町村への親身な援助を行うべきです。

4.老人保健・福祉事業のサービス低下を招かないために、国は補助を継続し、大阪府は府下市町村への援助と指導を

 4月から介護保険の制度のなかで、地域支援事業が実施されるのに伴い、国の介護予防・地域支え合い事業が廃止されます。国はいままで公費で賄われてきた老人保健・福祉事業を、地域支援事業の創設で介護保険の枠内に置き、その分国の負担を減らし、介護保険料に負担させようというのです。

 しかも、この地域支援事業の事業費には国庫補助の上限があり、いままでの介護予防・地域支え合い事業のすべてのメニューが4月からも継続されるかどうか、予断を許しません。実際に、市町村によっては、いくつかの事業の廃止を予定しているところもあります。

 国は、地域支援事業の実施によって、少なくとも、いままでの老人保健・福祉事業が後退しないように、制度を改善すべきです。

 大阪府も、府下市町村の老人保健・福祉事業が後退しないよう、現状を早急に把握し、府単独の補助事業の創設など、府下市町村を援助・指導すべきです。

 

 

府民の共同・運動こそ、介護保険よくする力

 また、今度の改定介護保険法では、軽度の認定者のサービス限度額が大幅な削減となる問題や、特養などの施設整備費の大幅な削減、軽度・中度の認定者の施設介護からの締め出しなど、在宅でも施設でも必要なサービスが受けられなくなる可能性が十分にあります。負担は押しつけ、サービスは削る介護保険法改悪に賛成した政党の責任は重大です。

 日本共産党は、広範な府民のみなさんとの対話と共同を強め、ここに提案した4つの緊急課題の実現をはじめ、だれもが安心して利用できる介護保険に改善するために全力で奮闘します。府民の共同・運動こそ、介護保険よくする一番の力です。みなさんのご協力を心からお願いいたします。

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