大阪市が公設民営学校方針
全国でも異例 背景に財界の要求
(小林裕和・党大阪府委文教責任者)
大阪市教育委員会は6月28日の教育委員会会議で、公立学校の運営を民間に委託する公設民営学校を、国際的な教育課程(国際バカロレア)をもつ中高一貫教育校として設置する方針を確認しました。公立学校の民間委託は全国的にも異例です。
外国語教育に特化した学校とするとともに、市の学校教育全体の学力向上に寄与する拠点校としての役割を担わせるとしています。
住之江区・南港南中学校区の統廃合・小中一貫校開校により廃校予定の小学校(南港緑、南港渚)の校地に設置するとし、2019年4月開校をめざして今年度中にも条例案を市議会に提出し事業者を公募する方針です。
大阪府・市は13年9月に「国際バカロレアの認定を受ける公設民営学校の設置」を国家戦略特区の事業として「公教育への民間参入を促すことで、新たな市場の拡大を図る」ことを掲げて提案。15年9月に公設民営学校の設置が可能となる特区法と関連法令が改定・施行されました。今回の市教委方針はこの具体化です。
背景には財界の要求があります。関西経済同友会は08年3月の提言で「現状の公教育に限界がありこのような英才教育ができないのであれば、特区にて公立学校の民営化・民間委託を試験的に実施し、その展開をはかるべきである」と主張していました。
安倍政権の補完勢力としての維新の政治は、府民・市民の教育への切実な願いに背き、大阪市の小中学校統廃合や府立高校廃校計画などを推進する一方で、こうした公設民営学校を設置しようとしています。
子どもと教育の立場からみて、「新たな市場の拡大を図る」公設民営学校は設置せず、公立学校への中高一貫教育や国際的な教育課程の導入は学校関係者の議論と合意を踏まえた抜本的再検討が必要です。
いま、大阪府・市の教育行政がやるべきは、子どもの成長・発達を保障するため、小中学校全学年に35人学級を広げることや私学助成の拡充など教育条件を良くすることです。
(「しんぶん赤旗」2016年7月20日付)