大阪府独自の学力テスト チャレンジテスト
内申点に反映 弊害が噴出
廃止へ共同広げよう
大阪府内の中学1、2年生全員を対象とする府独自の学力テスト(「チャレンジテスト」)が1月12日に実施されました(本格実施は2回目)。1年生は国語、数学、英語の3教科、2年生はこれに社会、理科を加えた5教科です。
全国的にも異例
府教育委員会は学力テスト結果を高校入試の内申点に反映させる方針です。維新政治のもと全国的にも異例です。
昨年1月に実施された中学1、2年生対象のテスト結果をうけて、3~4%の生徒の内申点が修正されたと報じられています。生徒の学校での授業や提出物、中間・期末テストなど日常的な学習状況を総合的にみて、つけられた内申点が、一回のテスト結果で強制的に変えさせられる事例が相次ぎました。
今回のテスト当日、府内のいくつかの中学校で多くの生徒が欠席したことが明らかになりました。欠席理由は「体調不良」や「家の都合」とされています。昨年の状況から“学力テストの点数が悪かったら、内申点が下げられる”などの不安が子どもと保護者に広がり、その深刻な影響があったとみられます。こうした学力テストを、今後も続けていいのかが問われます。
府独自の学力テストは、学校が実施する定期テストなどと違って、教育行政による行政調査です。行政調査としての学力テストは“個々の生徒の成績評価を目的としない”(1976年最高裁判決)ことが原則です。文部科学省による全国学力テスト「実施要領」でも、「調査結果を直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできない」と明記しています。府教育委員会が2015年11月、全国学力テスト結果を高校入試内申点に反映させる方針を撤回したのも、こうした趣旨を踏まえてのことでした。府独自の学力テスト結果を高校入試の内申点に反映させることをやめるべきです。
撤回の意見書も
「チャレンジテスト」をめぐっては昨年12月、千早赤坂村議会が廃止・撤回を求める意見書を全会派一致で採択し、反対の声が広がっています。大阪教職員組合や新日本婦人の会府本部、民主法律協会、大阪労連などでつくる子どもと教育・文化を守る大阪府民会議は1月10日、「チャレンジテスト」の廃止・撤回を求める署名2万2224人分(第一次)を府教育委員会に提出しました。
子どもの成長を妨げ教育をゆがめる「チャレンジテスト」の廃止にむけ、府民共同を広げることが求められます。 (小林裕和・党大阪府委文教責任者)
(「しんぶん赤旗」2017年1月29日付)