政策・提言・声明

2017年04月05日

2・3月大阪府・市議会と今後のたたかい

中野敏・党府自治体部長

 「森友学園」疑惑が安倍政権と「維新府政」を大きく揺らすなかで大阪府議会は24日に、大阪市議会は28日に閉会しました。このなかで、大阪市を廃止し特別区に再編するための「特別区設置協議会」=法定協議会設置議案は府会、市会ともに5月議会に先送りされました。「可決は規定路線」と言われていたことからも維新にとって大きな痛手です。

 大阪府議会では、日本共産党、自民党、民進党が反対しましたが、公明党が法定協規約案の修正を府市に求め、大阪維新の会が同調して「継続審査」になりました。松井府知事は、「公明党の協力がなければ(法定協議会は)設置できない。前向きな継続だ」と発言しています。

 「都構想」は、一昨年5月17日の住民投票で否決され、決着ずみです。しかし、松井府知事・吉村市長は再チャレンジを表明し、法定協議会設置を提案。来年秋に再度、住民投票を実施したいとしています。

 「都構想」には、①大阪市を廃止、②市民サービスが低下、③市の財源・権限が府知事に吸い上げられ、一人の指揮官でやりたい放題、という致命的問題があります。

 民意を踏みにじり、再び市民に対立と分断を迫る「都構想」の蒸し返しは許されません。

 府議会では、「森友学園問題」でのわが党府議団の追及が光りました。「森友」疑惑の核心は、①「国有地9割引払い下げ」疑惑、②「小学校設置認可ありき」疑惑、③安倍首相夫妻や政治家の関与、です。教育常任委員会では石川多枝府議が、基準を満たしていないのに受理し、無理やりに「認可適当」にした問題を厳しく追及、宮原威府議が都市住宅常任委員会で、森友施工業者が維新に献金していた問題を明らかにし、「認可適当」は「知事の意向なしにはあり得ない」と追及しました。

 一方、大阪維新の会と公明党は、偽証すれば刑事罰が科されるなど強い権限を持つ調査特別委員会(百条委員会)の設置提案に、「国会の状況を見極める必要があり、時期尚早」などと反対しました。「なぜ大阪府が『認可適当』を出したのか」—この解明なしに「森友問題」の真相究明はできません。府議会は直ちに教育常任委員会を開き徹底審議するとともに、強い調査権限を持つ百条委員会を設置すべきです。日本共産党は、引き続き、疑惑徹底解明へ国会議員・地方議員一体で全力をあげていきます。

 府予算には、阪神高速淀川左岸線延伸部分の建設やカジノ万博誘致に関わる大型開発のための予算が盛り込まれました。2018年度からの府の福祉医療費助成制度改悪や国保「府内統一保険料率」をすすめるなど、府民のくらし・医療・教育に背を向けた維新府政の市政はかわりません。

 大阪市議会では、大阪市営地下鉄・バスを廃止し民営化する条例案に、「市営交通事業の廃止には何の道理もない」と市民の共有財産の民営化に一貫して反対してきた日本共産党は、本会議で、また交通水道委員会で、果敢に論陣をはってたたかいましたが、大阪維新の会、自民党、公明党など3分の2以上の賛成多数で可決されました。

 昨年12月の議会で地下鉄事業民営化基本方針に「新会社全株式の市保有など、賛成条件の大半が受け入れられた」として賛成した自民党市議団が、総務省から、2018年の民営化実現後も地方交付税による財政支援の継続を認めるとの回答があったからと賛成にまわり、可決されました。

 民営化によって、「株式上場・売却」完全民営化への道が開かれたことになります。新たな局面のもと、公共の福祉の理念を堅持し、バス路線や便の改善、安心・安全の強化などを求めていく運動をさらにつよめるとともに、「株式上場はあかん」「売却は許さない」の共同のたたかいを強化していくことが求められてきます。

 また、重要な案件であった、住吉市民病院廃止に関わる工事予算案については、自民党、公明党などが、2018年3月に閉鎖される大阪市立住吉市民病院の跡地につくる民間病院の建設計画のずさんさから開業が2年間遅れる問題での市の対応を批判して関連予算7000万円に反対し、否決されました。しかし吉村市長は、2年間の医療空白をつくってでも南港病院の誘致に固執しています。

 大阪市南部保健医療協議会では、1月20日に民間病院建設の「計画変更」を認めない決議が採択されていました。「否決」は、住吉市民病院の存続を願う幅広い地域のみなさんの粘り強い運動とわが党議員団のたたかいの成果だと言うことができます。二重行政と決めつけた「維新」の誤りは浮き彫りになりました。

 地元では、「2年間の医療空白は絶対に許されない」「住吉市民病院は耐震補強で存続を」「当初の計画に立ち返り、市民病院として現地建て替えを」などの声と運動が広がっています。いよいよ民間病院誘致路線からの転換をかちとっていかなければなりません。

 また、これまで3度継続審議となっていた水道事業の民営化議案も、反対の声が高まるなかで審議未了・廃案となりました。

 府と同様に、IR推進局の設置や淀川左岸線、なにわ筋線など不要不急の大型開発をすすめ、国民健康保険料の連続値上げなど、市民のくらしを追い込む予算案が維新・自民・公明の賛成で議決されました。

 全国以上に厳しい大阪府民のくらしと経済を、政治がささえてほしいという願いは切実です。日本共産党は、「住民の福祉を増進させる」という地方自治体本来の役割を果たす大阪府政、大阪市政にするために引き続き全力で奮闘するものです。

(しんぶん赤旗、2017年4月1日付掲載)

 

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