大阪「チャレンジテスト」
維新政治下、教育ゆがめる
全国でも異例 廃止こそ
大阪府内の公立中学3年生を対象とする府独自の学力テスト(「チャレンジテスト」)が21日に実施されます。昨年に続いて2回目。国語、社会、数学、理科、英語の5教科です。
維新政治のもと府教育委員会は引き続き、学力テスト結果を公立高校入試の内申点に反映させる方針です。テスト科目以外の音楽、美術、保健体育、技術・家庭の各教科の内申点にも影響します。全国的にも異例です。
今年1月実施の中学1・2年生の学力テストでは、その点数が低い場合、1・2学期に学校がつけた内申点が下げられる可能性があるとして、府内のいくつかの中学校で多くの生徒がテスト当日、「欠席」する事態になりました。
もともと内申点は、定期テストだけではなく授業の様子や提出物、レポートなど、子どもの日常的な学習状況を総合的に評価して、学校が自主的につけるものです。“1回のテストで内申点が変えられる”と保護者や子どもが不安を感じるのは当然です。
府独自の学力テストの実施主体は、学校ではなく教育委員会です。教育委員会が実施する学力テストは、行政調査としての性格をもつため、その結果を子どもの成績評価に用いることはできません(1976年最高裁判決)。憲法が保障する教育の自由を侵害し、教育行政による教育への「不当な支配」になるからです。
文部科学省も全国学力テストの実施要領で、「調査結果を直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできない」と明記しています。
学力テスト結果の内申点への反映は、学校教育を「チャレンジテスト」中心にゆがめ、子どもの成長を妨げます。学力テストの結果にもとづく学校の内申点平均に合わせて、定期テストの問題を難しくしたり、やさしくしたりすることもありうるといわれています。
元校長や元教頭ら61氏は今年1月のアピールで、「チャレンジテスト」は「今後の大阪の子どもばかりか学校のありかたや地域社会をもこわしかねない重大な問題を持つもの」だと指摘。学力テスト結果を高校入試の内申書に組み込む制度の実施を断念するよう求めました。
子どもの成長を妨げ、教育をゆがめる「チャレンジテスト」を廃止し、すべての子どもの学力を保障するために、35人学級を広げるなど教育条件を良くすることが大切です。
(小林裕和・党大阪府委文教責任者)
(「しんぶん赤旗」2017年6月11日付)