政策・提言・声明

2017年08月23日

堺市長選 堺と大阪の未来をかけ、
3つの土俵で維新を打ち破ろう

堺市長選 堺と大阪の未来をかけ、3つの土俵で維新を打ち破ろう

中村正男さん(明るい民主大阪府政をつくる会事務局次長)の報告(要旨)

 

 堺市長選(9月10日告示、24日投票)を前に、竹山修身市長を自主的支援する住みよい堺市をつくる会が8月9日開いた集会での中村正男さん(明るい民主大阪府政をつくる会事務局次長)の情勢報告の要旨を紹介します。

 

①「大阪都」構想に新たな痛打を

 

 私は堺市長選挙必勝の思いをこめ、「明るい民主大阪府政をつくる会」の立場から、堺と大阪の現在と未来にかかわって、市長選で大きな焦点となる三つの土俵で維新を打ち破ることについて、お話ししたいと思います。

 市長選挙の一つ目の土俵は、「大阪都ノー」「維新ノー」の審判を再びつきつけるのか、それとも維新の野望を許すのかです。

 維新の府議が市長選に名乗りをあげた記者会見(7月8日)で、松井一郎代表(大阪府知事)は「大阪都は争点にしない」と耳を疑うことをいいました。

 「大阪都」をつくるためには、政令市である大阪市と堺市を廃止しなければなりません。彼らの大都市・特別区設置法に書いています。

 この府議をはじめ堺市の維新は2015年統一選挙の公約に「堺マニフェスト」をかかげ、「堺の未来を創る3ステップ」で堺が「大阪都」になってこそ羽ばたくと公約しました。

 東徹参院議員はこの日のツイッターで「堺市長選挙は熱い熱い闘い」「大阪都構想のことを考えれば何が何でも勝たなければいけない」と書いています。

 なぜ見えすいたウソをいうのか。松井代表は記者から突っ込まれ、「争点にしたら、竹山さんの思うつぼやんか」と本音を語りましたが、私は三つの理由があると思います。

 一つは、前回市長選で「大阪都」反対をかかげる竹山市長に敗れ、維新が存続の危機に陥った。その二の舞いになることを恐れてのもの、たたかわずして逃げようというものです。

 二つは、「とにかく大阪市でつくってしまえば、堺市ごときは、何とでもなる」と考えているのか。まるで堺市は大阪市の付録扱いで、堺市民をばかにした話です。

 もう一つ。ひょっとしたら相手候補はあまり勉強していないから「大阪都」を語れないのか。竹山さんには太刀打ちできないというものです。

 維新は10年、「大阪都」構想をかかげ、綱領に「ONE OSAKA」とか、「統治機構を変える」とか明記して生まれました。

 それが前回の堺市長選で敗れた。彼らの総括文書には「改革者とみられていた橋下代表が、いまや権力者とみられた」とか、「住民投票敗北=維新壊滅」とまで書きました。大阪市での住民投票が実現不能に直面した時、官邸に泣きつき、創価学会経由で公明党の態度を豹変(ひょうへん)させて住民投票実施にこぎつけました。しかし、15年の住民投票で歴史的決着がつき、橋下氏は政界を去りました。

 ところが、何回負けても、「大阪都」はやめられない。彼らは住民投票結果を足蹴にして、またぞろ「大都市協議会(法定協)」を立ち上げています。竹山市長は、「勝つまでじゃんけん」と批判しています。「大阪都」をやめてしまうと維新が壊滅するからです。どんなに批判をあびようと、どんなにウソをつこうと、「大阪都」構想を叫び続ける。「維新存続のための『大阪都』」―これが本質です。

 「大阪都」がノーの審判を受けたのは、①大阪市つぶし、堺市つぶし②その財源、権限を「都」に吸い上げ、市民のくらしをこわす③「1人の指揮官」でやりたい放題―という大問題があるからです。

 ペテンづくしのやり方も見抜かれました。11年の大阪府知事・大阪市長ダブル選の初めから「騙(だま)されないで下さい。大阪市はバラバラにしません」と法定ビラをだし、住民投票では「ラストチャンス」と叫びました。維新のホームページにはいまも「今回が大阪の問題を解決する『最後のチャンス』です。二度目の住民投票の予定はありません」と残っています。

 こんな「大阪都」や維新は許せないと、大阪独自の広い一点共同が生まれています。

 今回のたたかいは2期8年の竹山市政を守るたたかいではありません。大阪を覆う黒い雲を再び堺から振り払うために、私たちが挑戦するたたかいです。堺では二度と立ち上がれないところまで審判を下そうではありませんか。

 

②「停滞か、成長か」――事実示し痛快に

 

 二つめは「停滞か、成長か」。維新が唱える土俵でも、軍配は竹山市政にあがることを、動かぬ事実を示して、痛快に打ち破ることです。

 このスローガンは、「大阪都」をいえないと「改革ペテン」が通用しない。そこで無理やり「とにかく堺市は停滞」「大阪市は成長」と叫びだしたものでしょう。

 彼らの会見でも、記者から「(竹山市政の)具体的な失政というものがないから、停滞といっているのか」と突っ込まれていました。

 タウンミーティングでは、「4歳児、5歳児教育の無償化をしたから、大阪市の方がすすんでいる」とか、「水道料金は大阪市の方が安い」と宣伝しています。堺の何倍もの予算をもっていながら、一つや二つ、上回ることがなかったら、それこそ無能でしょう。

 しかし、市政の全体をみたらどうか。「住みよい堺市をつくる会」の「竹山パンフ」には、「市民の声で改革が進む竹山市政」が記されています。大阪市と比べてみましょう。

 竹山市政は国民健康保険料を8年連続1人1万5849円引き下げました。これには維新支持者の方からも高い評価の声が寄せられます。大阪市は黒字なのに値上げし、大阪府は「国保広域化」で多くの市町村の国保料を引き上げようとしています。

 竹山市政は保育待機児を減らし、政令市で初めて保育料の第3子無償化を実施し、さらに第2子へと広げる計画です。出生率も堺市は、大阪府や大阪市、全国平均を上回り、日経DUALの「共働き子育てしやすい街」ランキングで堺市は関西1位、大阪市は圏外です。

 就任早々、府内で先がけて、中学校3年生までの医療費助成を実施したのが竹山市政です。2期目は「市立総合医療センター」の第3次救急対応を拡充。救急車搬送時間を19分から10分台へと短縮しました。大阪市は「住吉市民病院つぶし」で医療空白を生みだす危険をもたらしています。

 小中学校へのエアコン設置をすすめるとともに、政令市権限を使い、今年度から「38人学級」を実現しました。先生も一人ひとりの子どもによりそい、のびのび成長できる環境がつくれます。かたや大阪府・市政について、『AERA』は6月に維新によって「傷む大阪」を連載。しめつけ教育のひどさで「大阪から逃げる教員」を特集しました。

 堺市は高齢者が1回100円で使える「おでかけ応援バス」を毎日利用に拡充しました。泉北高速鉄道は松井知事によるアメリカのファンド売却計画をストップさせ、南海への売却で運賃値下げに道を開き、市が高校通学定期代補助も始めました。大阪市は地下鉄・市バス「敬老パス」を有料化し、市バスも、「赤バス」(コミュニティーバス)も切り捨てています。

 堺市の借金(市債)、市民1人あたりの残高は、大阪市の約半分。全国20政令市の中で5番目に少ないものです。竹山市長は堺浜までのLRT(高規格路面電車)計画など不要不急の大型開発中止などで330億円を削減しました。竹山市長と副市長は文字どおり「退職金ゼロ」をすでに実施しています。

 さすがものづくりの街・堺市の製造品出荷額がいまでは3兆8000億円で政令市中6位、大阪市を上回っており、1人当たりで政令市トップになっています。08年からの7年間、5200億円増やしたことになりますが、同じ時期、大阪府全体はマイナス1兆6000億円、大阪市はマイナス9500億円です。どちらが成長し、どちらが停滞しているかは明らかです。

 どんな特殊なレンズをつけて見たら、「大和川を超えたら停滞」と見えるんでしょうか。

 松井知事は「堺の人口減」を宣伝しますが、その中心は南区の府営住宅の建て替えによるものです。大阪府全体の人口減を心配するとともに、堺のために知事としてやることをやったらどうでしょう。

 吉村大阪市長は堺市で、「大阪市が成長」などとよくいえるものです。維新ホームページには、大阪市は「こんなに低い世帯収入」「会社が逃げていく」「とまらない経済低迷」、だから「大阪都」と書いています。堺へくると「大阪市は成長」。それならば「大阪都」はどこでも必要ないでしょう。

 

③「市民共同」の竹山市政か、「一党一派」の維新か

 

 最後に市長選は、「市民共同」の竹山市政か、「一党一派」の維新かのたたかいです。

 私たちは、府民・市民多数の願いにこたえる政治をつくるのは一党一派ではなく、共通の目標と意思をもつ団体・個人が集まった共同の事業であり、それが多数の利益にかなう道だと活動をすすめています。

 国政ですすめられる野党と市民の共闘も、大阪ですすめられる反維新の共同も、戦争法廃止や「大阪都」反対で一致するなら、他の問題での立場や政策は大きく違っても、この一点で手を組み、政治を一歩前へ動かそうというものです。

 前回市長選で、私たちとは立場の違う団体幹部の方々が「あなたたちと同じ候補でたたかうとは隔世の感がある」と感慨深く語りました。

 いま松井知事は、国政でたたかっている自民と共産が手を組んでいる、「大阪名物・自共民の野合」と悪口をいいますが、堺では通用しません。

 第一に、国政と大阪・堺の地方政治は違います。

 私たちは国政では安倍政権の暴走と正面からたたかっています。しかし、この点で見ても、維新はカジノ、「共謀罪」、介護保険改悪に何でも賛成。森友・加計疑惑で行き詰まる安倍首相にたいして「安倍首相が信頼を失うと、憲法改正の信頼性も下がってしまうのではないか、危惧している」とかばっています。大阪の1番の「アベ友」は維新です。それこそ「大阪名物」ではありませんか。これには大阪の自民党支持者からも批判が生まれています。

 大阪では、暴走政治の中心にいるのが維新です。「大阪都」構想をかかげてくらしと地方自治破壊をたくらみ、ウソとペテンを政治にはびこらせ、府民の分断をこととする。私たちは「異質の危険」と呼んでいます。

 府民的な矛盾と怒りが大きく広がり、この政治を転換するためには自民党支持も、民進党支持も、共産党支持も違いはない。私たちは自民党と手を組んでいるのではありません。パートナーは、維新政治に不安と怒りを覚え、共同する市民です。そのなかで自民党や公明党支持者のみなさんも立ち上がり、それぞれの政党に「維新と対決を」と突き動かしているのが大阪の現実です。

 第二に「議員の身分」や「既得権益」を守りたいから野合しているといいますが、堺で「議員の身分」や「既得権益」にしがみついているのは誰でしょうか。

 政務活動費を1300万円もだまし取っていた元維新市議の2人。黒瀬大市議は辞職しましたが、小林由佳市議は、百条委員会で不正が認定されても、議員辞職勧告決議があがっても居座っています。この辞職勧告決議案に維新は反対しました。

 また松井知事は、「身を切る改革」「退職金をゼロにした」といいますが、その分を毎月の給与(報酬)に上乗せし、一時金を含めると逆に300万円以上手取りが増えています。

 国政と大阪府政を揺るがす森友学園疑惑。これほどの「既得権益大問題」なのに、維新はなぜ騒がないんでしょうか。そればかりか幕引きに躍起です。

 共同の問題で最後に訴えたいのは、堺市民の共同は前回の勝利から4年、いっそう深まり、広がっていることです。住みよい堺市をつくる会の「竹山パンフ」にそれがしっかり刻み込まれています。

 竹山修身市長がつくる会の宣伝物に登場したのは初めてでしょう。つくる会は竹山市長を自主的に支援する立場ですが、共同の信頼、絆は、より深まっている反映です。パンフで竹山市長が語る内容も、つくる会が独自に編集している内容も、共同の精神が貫かれています。

 パンフには府的な立場で第18代大阪市長の平松邦夫さん、浪速産業社長の中野雅司さん、ミナセン大阪の小谷成美弁護士にもエールをおくっていただきました。

 あらためて「明るい会」として「大阪は一つ」で堺市長選挙・竹山さんの勝利に全力投球する決意を表明します。

 13年の堺市長選の勝利が「オール沖縄」、そして野党共闘につながりました。大阪市の住民投票勝利の力になりました。今度の市長選勝利で、市民の力で政治を動かす新たな扉を開けようではありませんか。(おわり)

「しんぶん赤旗」8月18~20日付近畿のページより

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