政策・提言・声明

2017年09月02日

大阪府立大・市立大「統合」計画の撤回を

 大阪府と大阪市は、9月府・市議会に、大阪府立大学と大阪市立大学を運営する法人を統合する関連議案を提出しようとしています。2019年4月の法人統合に続いて、22年4月に大学統合をめざす方針です。

 現在、府大と市大の学長は理事長を兼務して大学を運営しています。しかし、統合された大学法人は、理事長と学長を分離し、理事長は府知事と大阪市長が任命し、副理事長となる府大と市大の学長は学長選考会議の選考に基づき理事長が任命するとされています。

 法人統合の趣旨は、経営の一体化で「ガバナンス(統治)の強化を図り、選択と集中の視点から構造的な改革」をはかるとされます。ここには、首長が任命した理事長に強い権限をもたせ、新自由主義的「大学改革」を促進する体制をつくる狙いをみることができます。

 この間、府と市、府大と市大の4者は新大学のあり方について、これまでの総合大学としての普遍的な領域などに加えて、新たな「戦略領域」の設置を検討しています。法人統合による体制で、こうした大学での教育研究の基本問題と学部(学域)再編について、大学関係者の議論と合意を抜きに押し付けられることが危惧されます。

 もともと府大・市大の「統合」計画は、大学の自発的な要求から出発したものではなく、維新政治が大学の自治を踏みにじって強権的に押し付けてきたものです。そのため、大学関係者からは、教職員や学生、卒業生などによる民主的な議論がなされることなく、統合計画が既定方針として推進されているとの批判の声が上がっています。

 府立大と市立大の名誉教授ら21氏は13年10月に発表したアピールで、「大学の統合はそれぞれの大学の内発的要求が合致し、財政的保障が十分なされなければ難しい」と述べ、橋下市長(当時)の大学自治への介入と統合計画の拙速な推進を深く憂慮することを表明していました。

 憲法が保障する学問の自由・大学の自治を守る立場から、府大・市大「統合」計画の撤回、学費負担の軽減や大学運営費交付金の増額など教育研究条件の拡充にむけた府民・市民共同の発展が求められます。

(小林裕和・日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者)
(「しんぶん赤旗」2017年9月1日付)

 

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