教育がゆがめられる “学テ結果 教員評価に反映”
大阪市長発言に批判高まる
小学校6年生と中学3年生を対象とする全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の大阪市の結果が政令市のなかで2年連続最低だったことをうけ、大阪市の吉村洋文市長は方針を表明しました(2日)。
教育がゆがめられる “学テ結果 教員評価に反映”
大阪市長発言に批判高まる
一番の被害者は子ども
吉村洋文市長は「中学校の平均正答率合計を0.03ポイント向上させる」など全国学力調査に関わる数値目標を各学校で設定し、その達成結果を教員の「勤勉手当」(ボーナス)や「校長経営戦略予算」などの増減に反映させることを検討するとしています。今後、市長と教育委員会で構成される総合教育会議で協議される予定です。
これに対して「子どもが追いつめられる」「教育に対する冒とくだ」など、府民・学校関係者から強い批判や不安の声が上がっています。
今回の市長表明は、学力調査結果を学校と教員評価にまで反映させようとするものです。これは、学校での子どもへの教育指導の充実や教育施策の改善などに役立てるとされる学力調査の趣旨・目的から大きく逸脱します。
行政調査である学力調査の結果を「業績」と扱い、「結果」に対して「責任」を負う制度へ転換するとして、学校と教員評価に反映することがいいのかが問われます。
維新大阪市政はすでに、全国学力テスト結果を学校別に公表しており、これに加えて学校と教員評価に反映させることになれば、いっそう学校に過度な競争が持ち込まれ、子どもと教員に“学力テスト対策”が強制されます。教育がゆがめられ、一番被害を受けるのは大阪の子どもたちです。
文部科学省は全国学力調査結果の取扱いを実施要領で、「調査により測定できるのは学力の特定の一部分である」ことなどを踏まえ、「序列化や過度な競争が生じないようにする」と述べています。
こうした問題点をもつ、全国学力調査結果を学校と教員評価に反映させる制度の検討は、やめるべきです。
いま大阪市の教育行政がやるべきは、市民と保護者の切実な教育要求にこたえて、小・中学校に35人学級を広げるなど教育条件を改善することです。
(小林裕和・日本共産党大阪府委員会文教委員会責任者)
(「しんぶん赤旗」2018年8月8日付)