政策・提言・声明

2018年12月11日

「大阪万博」に期待する人も、期待しない人も、
「カジノはノー」「大阪都はストップ」
――この一致点で府民多数派をつくり、
「維新政治」の転換を

12月11日、日本共産党大阪府常任委員会は次の声明を発表しました。

「大阪万博」に期待する人も、期待しない人も、
「カジノはノー」「大阪都はストップ」
 ――この一致点で府民多数派をつくり、「維新政治」の転換を

2018年12月11日 日本共産党大阪府常任委員会

(1)

 11月23日BIE(国際博覧会事務局)総会で2025年万博の開催地が大阪に決定したことについて、日本共産党大阪府委員会は柳利昭府委員長コメントをだしました。このなかで「大阪万博」に歓迎の声があがる一方で、「なぜ万博がカジノとセットなのか」「人工の埋立地・夢洲に5月-11月、2800万人もの集客をおこなって大丈夫か」「巨額の府・市民負担が待ち受けるのではないか」など懸念の声があがっていることをのべ、「万博を口実にした巨大開発のムダづかいやカジノ誘致には断固反対」しつつ、「広範な府民のみなさんとともに、『大阪万博』の進め方について議論・検討と提言をすすめていく」ことをのべました。

 府民世論を反映し、各紙社説も、「日本浮揚の起爆剤とせよ」(産経)などの一方で、「万博とギャンブルを一体的に捉える姿勢は大いに疑問」(読売)、「南海トラフ地震で懸念される津波や液状化は、現在の想定では不十分だ。外部へのアクセスが断たれたときの孤立対策は手が付けられていない」(毎日)、「大阪府と市の負担は軽くない。入場料でまかなう予定の運営費を含め、住民にしわ寄せをしないことは行政の務めである」(朝日)などと警鐘を鳴らしています。

 11月30日の大阪市会本会議で、わが党の井上浩市議は吉村大阪市長に、「夢洲でも、すでに土地造成された3区でやれば、IR誘致も、急速施工も必要ないという声もある。なぜあらゆる可能性を議論しないのか」「1250億円の建設費、540億円の地下鉄延伸費というが、どこまで膨れるかわからない」「他の地での開催検討もなく、『IR=カジノありき』の計画ではないか」などの基本点をただしました。

(2)

 「大阪万博」への懸念の声は、「万博に期待する」という方からもあげられています。ところが、維新は、「大阪万博は維新の実行力」などと宣伝することに躍起ですが、府民の懸念に正面からこたえる姿勢はありません。吉村大阪市長は議会でのわが党の質問に対しては「費用の上振れには留意する」というだけで、「IRをなぜそこまで結びつけるのか」と居直り、「経済効果は2兆円。大阪、関西経済の起爆剤」という答弁に終始しました。

 加えて、松井知事、吉村大阪市長の言動には、見過ごせない2つの大問題があります。

 一つは「大阪万博決定」のなかで、「IR(カジノ)誘致」をまるで既成事実として押しつけてきていることです。

 これまでの「万博招致」活動では「カジノ」をひた隠しにしたにもかかわらず、「大阪開催決定」後は、隠れもなく、「万博とともにIRが成長戦略の起爆剤」とあおります。米カジノ大手で、万博のオフィシャル・スポンサーとなるラスベガス・サンズ社は、「万博祝福メッセージ」で「大阪・関西万博は、大阪が掲げる統合型リゾートの計画と密接な関係」「公共設備やインフラを必然的に共有」「関西万博は、統合型リゾートを世界に紹介するプラットフォーム」と赤裸々に語っています。
 いま一つは、「大阪万博」をテコに、行き詰まる「大阪都」構想を無理矢理、押しすすめようとしていることです。

 松井知事は「万博が招致できたのは『府市一つ』だから」とうそぶき、12月5日には「(住民投票は)7月までにはやらせてもらいたい」「参院選と住民投票の同日実施が一番合理的だ」「ボールは公明党にある」「これまでの信頼関係を裏切られることがあれば、ありとあらゆる手段を講じる」などとのべています。

 「大阪万博」をみずからの思惑のために政治利用する、この狙いを許してはなりません。

(3)

 「大阪万博」をテコに「カジノ」「大阪都」という維新の企てには、大きな矛盾と障害が待ち受けます。何よりも、貧困と格差の増大のなか、府民の暮らしと大阪の行き詰まりの打開の道は、カジノや「大阪都」などではなく、「暮らし、福祉の充実」「子育て支援」「中小企業支援」「防災対策」などにこそ求められるものです。府民世論も、「大阪万博」への態度とは異なり、「カジノ大阪誘致」は「反対」が多数となっており、とくに女性や支持なし層では大きな批判が生まれています。「大阪都」は2015年の「住民投票」で決着がついているうえ、いまも世論は「反対多数」であり、大阪市をなくし「特別区」を求める声を大きく上回ります。

 日本共産党大阪府常任委員会はよびかけます。「大阪万博」に期待する人も、期待しない人も、「カジノはノー」「大阪都はストップ」――この一致点で力をあわせ、世論を大きく広げようではありませんか。

 「カジノより暮らし、福祉」の声を大きく広げましょう。「大阪万博」のあり方をめぐっても、「夢洲での開催」や「事業費膨張と府民負担」への懸念、その打開策について府民的な対話・討論を広げましょう。みずからの政治的思惑のために、こうした声を顧みず、つきすすむ松井知事、吉村大阪市長ら、維新の政治姿勢を徹底批判していきましょう。2019年の統一地方選挙、参院選、秋の知事・大阪市長ダブル選挙で審判を下し、政治の中身を根本転換しようではありませんか。