政策・提言・声明

2020年01月08日

大阪府大・市大「統合」は中止し、
教育研究条件の抜本的改善こそ

 大阪府・大阪市は2月府・市議会に、府立大・市立大「統合」関連議案(中期目標変更等)を提出しようとしています。昨年4月に両大学を運営する法人が統合され、公立大学法人大阪として新設されたのに続いて、2022年4月に新大学発足をめざす方針です。大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想と一体の大学「統合」計画です。

 両大学の「統合」はもともと、大学関係者の内発的な要求にもとづくものではなく、憲法が保障する学問の自由・大学の自治を蹂躙(じゅうりん)して、維新政治が両大学に押し付けてきたものです。大学の教育研究への財界の要求に応え、安倍政権がすすめる新自由主義的「大学改革」の具体化です。

 学外「有識者」が「新大学構想〈提言〉」を公表したのは13年1月でしたが、この年の10月に、府大・市大名誉教授ら21氏は、「橋下市長(=当時)の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表しました。声明は「大学をめぐる環境が変化するなかでも、大学の自治はその真価を発揮させていくべき普遍的原理」だと述べています。

 日本共産党大阪府委員会は同年5月以降、一連の大学改革提言を発表し、両大学の存続・発展にむけた府民・市民共同を呼びかけています。

 公立大学法人大阪は昨年8月、「新大学基本構想」を公表しました。維新政治は「選択と集中」が前提だとして、大学法人に対して統合・再編(リストラ)を強く求めています。

 「大学二つをそれぞれ圧縮して、1+1を2以下にするような話はデメリットしかない」(「朝日」19年11月16日付)との大学法人関係者の発言にみられるように、維新政治の「大学改革」と府民・大学関係者との矛盾は深刻です。

 ある大学関係者は、「大学と府・市の関係が一方的で、大学が従属させられている。1000億円の事業(大阪市城東区森之宮)は、大学を大規模な開発に利用するものである。大学のあり方がいま問われている」と述べました。

 府大・市大「統合」計画は中止し、大学改革は大学関係者の議論と合意を尊重して行うことが必要です。いま大阪府と市がやるべきは、学費無償化や大学運営費交付金の増額による教育研究条件の抜本的改善です。

(小林裕和・日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者)

(「しんぶん赤旗」2020年1月8日付)

 

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