3つの疑惑 徹底解明へ
ただ同然・政治家の関与・府の責任
国会内外で共産党奮闘
森友学園国有地売却問題
豊中市の国有地が大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)に格安で売却された問題が、国政を揺るがしています。国会でも野党がこの問題を追及。5日には、政治家の関与を暴露した日本共産党の小池晃参院議員・党書記局長が豊中入りし、小学校建設現場を視察するとともに、党主催の緊急街頭演説で、政治家の関与と安倍首相夫妻の道義的責任を徹底追及したいと訴えました。
第1の疑惑 なぜただ同然で売却?
森友学園問題では3つの疑惑が浮上しています。第1は、なぜ森友学園に、ただ同然で国有地が売り渡されたのかという問題です。
8770㎡をわずか200万円で
森友学園が豊中市に建設中の「瑞穂の國記念小學院」をめぐっては、時価9億5600万円の土地(8770平方㍍)が、ごみ撤去費用として8億1900万円値引きされ、売却価格が1億3400万円になりました。
さらに売却前の貸付期間中に土壌汚染除去費用として支払われた1億3200万円を含めると、学園側の負担はわずか200万円。ごみの撤去が実際に行われたのかどうかなど、数々の疑惑が浮上しています。
辰巳孝太郎参院議員は6日の予算委で、売買契約成立時の不動産鑑定書が、今回の算定の前提となった埋設物の全撤去について、「正常価格の概念から逸脱する」としていたことを指摘。国有地の売買で通常、国と購入希望者の間で行われる「見積もり合わせ」が森友学園との土地売買では行われていなかったことなどを追及しました。
ごみ撤去費用を算定をしたのは、算定経験のない国土交通省大阪航空局だったことが分かっています。
ウルトラCの土地取引
豊中市の街頭演説で小池晃書記局長は、「この土地取引は前例のないことだらけで異例づくし。200万円の負担であの広大な土地を手に入れたことは、どう考えてもおかしい。あんなウルトラCを役人の判断でできるはずがない」と指摘しました。
第2の疑惑 政治家の働き掛けは?
第2は、異常で奇怪な取引への政治家の関与の問題です。
学園の要望通りの決着
共産党の宮本岳志衆院議員が近畿財務局、大阪航空局と学園側との交渉が行われていたことを暴露。安倍首相は、与党の議員の働き掛けはいっさいないとしてきましたが、小池書記局長が、自民党の鴻池祥肇参院議員事務所と森友学園の籠池泰典理事長との面談記録を示し、学園側の国有地値引きの働き掛けと財務省などとの交渉、学園側の要望に沿った決着の事実を追及しました。
小池氏は街頭演説で、独自に入手した面談記録の中に、学園側が政治力や土地価格を低くすることを露骨に求めていたことなどを紹介。記録には財務省の名前も出てきたことも明らかにし、「核心部分にいったいどの政治家が関わったのか」「特定の一学校法人に有利に国有地を引き渡す。こんな経過なら、重大問題として全力挙げて追及していく」と述べました。
安倍首相夫妻の道義的責任も重く問われています。
安倍首相の妻、昭恵氏は新校「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長になり(2月に辞任)、同校は当初、「安倍晋三記念小学院」の名で寄付を集めていました。
森友学園が経営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)での、園児への教育勅語暗唱や、園行事で園児が「安倍総理がんばれ」「安保法制国会通過よかった」と“宣誓”するなどの教育方針を、安倍首相夫妻が賛美していたことへの責任も厳しく問われています。
広告塔の役割果たした
小池氏は街頭演説で、「安倍晋三内閣総理大臣夫人」として昭恵氏が登場している同小学校パンフレットや、昭恵氏が塚本幼稚園に再三訪れて講演も行ってきたことを示し、「まさに広告塔の役割を果たしてきたことはまぎれもない事実」「首相夫妻の行動の道義的な責任は明らかではないか」と指摘しました。
第3の疑惑 府はなぜ認可適当に?
第3は、塚本幼稚園の異常な教育実態と大阪府の新小学校「認可」の問題です。
同幼稚園では、園児の教育勅語暗唱の他、決まった時間しか園児にトイレに行かせない、もらしてしまった大便を園児に持ち帰らせるなど、人権侵害の虐待行為と思われることが行われてきました。保護者に対する園側のヘイトスピーチで訴訟に発展しているものもあります。
維新府政が要件を緩和
大阪府は2012年、学園からの要望で、借り入れ金があっても学校が開設できるよう資産要件を緩和しました。
さらに、大阪府私学審議会では、委員から学園の財政基盤の脆弱さをはじめ異論が相次いだにも関わらず、小学校認可適当の答申が出されました。
文部科学省は2008年、2012年に2回にわたって、塚本幼稚園の教師を表彰しています。推薦したのはそれぞれ橋下、松井維新府政です。
市議団・府議団・国会一体で
マスコミからの注目も
森友学園問題では、新小学校が建設されている豊中市で昨年来、日本共産党市議団が不審な土地売買を洗い出し、無所属市議や市民らと追及してきたのをはじめ、党府議団や大阪市議団の調査・相談活動が党国会議員団の論戦と一つになって、大きな力を発揮してきました。
共産党の国会論戦は、「ファクト(事実)を示して政権を揺さぶる姿勢は、野党のあり方として高く評価されるべきだ」(「産経」)など大手マスコミからも注目されています。
府議団、豊中市議団も議会で、森友学園問題で徹底論戦する構えです。
真相の究明に全力共産党府委員会総会で柳委員長日本共産党大阪府員会の柳利昭委員長は4日の第2回府委員会総会で、森友学園問題について、「安倍政権を追い詰めるたたかいの焦点の一つでもあり、大阪の維新政治とも関わる重要問題として、国会議員団、府議団、大阪市議団、豊中市議団と連携して徹底追及を進める」と述べるとともに、「党の果たした役割を府民の中に大いに語りながら、真相の究明に力を尽くす」と語りました。 |
(大阪民主新報、2017年3月12日付より)